その傷と静かに暮らす。
男の子と女の子が
夜の町を歩いていた。
沈丁花の薫りがするから
遠回りしよう
男の子が言った。
海の近くの町だったから
春の海のほのかな薫りと
沈丁花の薫りが混ざりあった。
男の子はそれが一生の
傷になるとは思わなかった。
そしてその傷と静かに
暮らせるようになるとも
思わなかった。
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男の子と女の子が
夜の町を歩いていた。
沈丁花の薫りがするから
遠回りしよう
男の子が言った。
海の近くの町だったから
春の海のほのかな薫りと
沈丁花の薫りが混ざりあった。
男の子はそれが一生の
傷になるとは思わなかった。
そしてその傷と静かに
暮らせるようになるとも
思わなかった。
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