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きつねは世界と仲直りできないままでいた。

嵐の夜、きつねは世界と仲直りできないままでいた。
ベランダの植物をしまい忘れたが、
おれもびしょ濡れだしな、と思った。
パチンコ屋の幸福も夜のバスの幸福も
とても眩しく見えた。
ファミレスのコーヒーの湯気に
隠れてしまいたかった。
深夜。雨はあがり、雲が切れた。
世界はただ仲直りを待っていた。

#小説 #おはなし #短編

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