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短いおはなし7

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2022年7月の記事一覧

今回の苦痛はいつまぎれるのかな。

今回の苦痛はいつまぎれるのかな。

きつねは思った。
今回の苦痛はいつまぎれるのかな。
まだもうすこしかかるかな。
おれのことだからまた
いろいろなことを忘れて
笑ったりするんだろうな。

苦痛は苦痛でしかない。
それ以外に
やることはいくらでもある。
それをサボっていい理由には
ならない。

苦々しく負荷がかかっているのが常。

苦々しく負荷がかかっているのが常。

きつねは思った。
達成、達観、解脱というものは
ないのではないか。
それと今を比べると
つらくなるのではないか。
苦々しく負荷がかかっているのが
常なのではないか。
苦々しさを噛み締め
負荷を受け止めながら
すこしでもマシになれますように、
というくらいでやっていこう。

草の舟は冬ヶ丘を目指しいた。

草の舟は冬ヶ丘を目指しいた。

草の舟が冷たい草原を駆けて
冬ヶ丘を目指していた。
夏でも冬の風が吹いている。
男の子は草の舟から手を出して
草原の水面をなでた。
天気が目まぐるしく変わり
水しぶきが頬にかかり
虹が出たり消えたりした。
いままでたまっていた
涙がたくさん出た。
草の舟は冬ヶ丘を目指していた。