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この日

なんども死のうと思った
生きたいと思えなかった
21回目がなければ良いのにと何度も思った。

正直この日を特別に思ったことはない
だけど毎年不思議と家族、友達、恋人に「生まれてきてくれてありがとう」と、感謝される
まあ、人並みに喜んでみたりはする
けどやっぱりどうってことはないひたすらな日常。

今年は1人でのんびり映画でも観て過ごそうかと思っていた
「ケーキ頼んだき帰っておいで」と、祖母からの電話があった。ほんの少し嬉しかった。


住んでいた街へ帰る
私はこの街が好きだ
なにもないけれど、ただゆっくりと時間が流れて、緑に囲まれていて、優しい人達がたくさんいる
「元気してる?」
「○○○ちゃん、久しぶりだね〜」
みんなが声をかけてくれる。

いつも花を買っている花屋では
「今日はガーベラが綺麗に咲いたからおまけしとくね」
「クリスマス近いから、この実がついた木あげるね」
駄菓子屋では
「10円まけとくね」
「おまけで1個好きなのあげるよ」
 優しさで溢れている。そんな街だ。

友人の車でお出かけをした
友人は素敵なプレゼントをたくさんくれた
物はもちろん、時間や気持ち全てがプレゼントだった

夜になると家族で美味しいご飯を食べた
お酒も飲んでついつい楽しくなり、頬が緩んだ
ああ、楽しいな、幸せだな。
こういう時間がいつのまにか私を安心させてくれていたのだと気づいた。

好きな人やものが手に届く範囲にあれば、それでいいと思った。ちょっと贅沢すぎるかもしれないけれど。
今まで出会ってきた人とは、出来るだけお別れはしたくはないと思うし、その人たちにとって自分もそういう存在であれたら、これ以上に嬉しいことはない。
そして大好きな人たちと一生お酒やら何やらを飲み交わせたら最高だな。想像するだけで。


この日があるなら、大丈夫と思える。
実際には幸せだと思える日はもっといっぱいあるのだろうけれど、誕生日はそういう日なのかもしれない。

ありがとう友人
ありがと恋人
ありがとう家族
おめでとう自分
ありがとう誕生日。

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