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目眩く夕日堂やっほー #9

#9 石井正則さんの写真展にいったよ♬

 まあ、ほんとにお久しぶりでございます。
めっちゃサボってすみません。すっかり寒くなって、体が思うように動かなくて、ついでに家活も停滞で、でもボチボチどっかに写真撮りに行ったりと、のんびりしてたらあっという間に年末です。恐ろしい。。。😢
イルミネーションの時期なので街に出た時に玉ボケ狙いで色々試しております。後日何らかであげてまいります。

 SNSやるなら、もうちょっとイイね数とかフォロワー数とか気にした方がいいのかも知れませんが、物欲も所有欲も承認欲求も皆無に等しい小生は全くと言っていいほどイイ活をしないので、そりゃ増えるわけ無かろうってなもんで、まあ記録程度でやっております。間が開くことが多いかも知れませんが、お気楽にお付き合いいただけたら幸いです。

 前に#7で星野道夫さんの写真展に行ってきたお話をしましたが、今回は石井正則さんの写真展に行ってきたお話をしましょう。
 石井正則さんは以前アリtoキリギリスというコンビの芸人さんをされていて、私は勝手に「アリ」さんの方だと思っていました。現在はコンビは解散されて、俳優さんやナレーションでお馴染みですね。で、石井さんがカメラ撮影をされておられることや、喫茶店マニアであることは少しだけ聞いたことがありました。ただ、全く内容は知らなかったので、今回地元に写真展が巡回でやってくることを知り、早速行ってまいりました。

 石井さんが使用されているカメラは大判のフィルムカメラというもので8×10というサイズのフィルムを使用し、現像もご自身でなされているとのことです。私が普段やっているのはデジタルカメラで、しかも最近は専らミラーレスなので手間のかかりようが全く違います。デジイチミラーレスは超楽チンです。一方フィルムはそれだけで大変だと思うし、しかも大判機は凄く高価だろうと。特殊なので色んなご苦労があるのではと推察します。まあ、やってる方々はそんな苦労はそこまで気にせず撮影を楽しんでいらっしゃるのでしょう。ちょっと私には手が出せませんね。怖いです。思い出したのですが、大昔はフィルムしかないので35mmフィルムの手巻きでボヤっとしたピンボケ写真を現像屋さんに頼んでプリントしてもらって喜んでた時代でしたね。以前にも書きましたが、私は写真が大嫌いだったので、自分が写ったものは殆どありませんが、訪れた場所の記録として撮影したプリントは、探せばどこかに残っていると思います。ネガ現像というだけで懐かしい感じがしますよね。最近はエモ好きの人達の間でフィルムやフィルム風が流行っているそうですが、正直なところ撮影現場でのことを考えると、フィルムやデジイチレフ機にはもう戻れない感覚に私はなっています。ですから、フィルムでしかも特殊な機構(元々はこちらが元祖ですが)で撮影されている作家さんの作品はとても勉強になります。

 巡回展初の地方ということで、岡山県瀬戸内市牛窓町にある瀬戸内市立美術館へ。瀬戸内市役所庁舎のすぐ隣の建物の3Fで2021/12/1-12の間で開催中です。間違えて4Fで降りてしまってしまったのですが、4Fは別の有料展示をやってました。エレベーターで3Fへ。
 展示数としては決して多くは無いのですが、厳選30点ほど、という感じです。何度も言ってますが、写真や音楽を言語化するのは極めて困難なので、是非直に鑑賞してください。とても柔らかい作風です。でもフィルターをかけたような作為的な柔らかさではありません。私が感じたのは二点。
 一つは、現場のことをよく理解されている質感になされていること。伝染病により過酷で数奇な運命を辿った島に暮らす人々が生活していた施設と土地そのものを、余分なことをせずに在りのままを、しかし光や画角に配慮が行き届いた、非常に爽やかな印象を残す作品群です。フィルムの特性がよく活かされているということになるのでしょうか。多分、デジイチではこの感じを出すのは難しいのではと思いました。テーマに相反して、全く重くないのが本当に不思議です。
 もう一つは、作家のお人柄がよく出ていること。一点目の源になるわけですが、被写体を撮るということは、つまり撮影者の本質が投影されるということです。被写体を理解し共感しようとする姿勢、これは必ず作品に出てしまいます。とても誠実に現場と向き合われてきたことがよくわかります。石井さんは全国各地のハンセン病療養所を訪れ、特大カメラで撮影されて来られました。当然土地の方々との交流もおありのはず、私は一般人ですから作家とお話をしたことはありませんが、写真や絵画や音楽等は鑑賞の時間が作品との対話となります。「私はこう感じた」、ここが重要です。作品に邪心が入り込めばそれは不足なく観る者に伝わります。
 こんな言い方をすると「作品作りって怖いなー」っということになりますが、そこを恐れては言いたいことは伝えられません。伝わるように伝えなければ伝わらない、そこを意識して、注意して、気を付けて、外に出していく。準備と配慮、私もそのことをずっと考えています。と言いながら、やっほーでは放言していますが。。。
 撮影や編集で重要なのは、被写体に寄り添う姿勢です。私は自ら兼題写真を撮り、自ら句を捻り出すというのを普段やっているので、俳句の先生たちは「配慮」というものを物凄く口を酸っぱくして注意されます。なので、そのことは写真にも自然に反映されます。編集段階で自分の写真に「配慮が足りん。。。」と思い知らされること、枚挙に暇がございません。反省中です🙇
 季語に寄り添えていない、被写体に寄り添えていない、良くない現場での姿勢が多くて嫌になることもしばしば。落ち込むことも多々あるのですが、それでも現場に赴きます。私の場合、撮影に行くことそのものが吟行なので、行かないと話にならない。一応その姿勢だけは、俳句の先生に褒められております。結果は推して知るべし、惨敗が多いのですが。でも、現場は楽しいです。編集はしんどいですが、千に一でも良いカットが見つかれば本当に嬉しいものです。

 石井さんの作品に出会えたことは大変光栄な出来事でした。私は隣の市の住人なので、比較的行きでやすいです。牛窓も、療養所がある虫明も、頻繁に撮影に訪れてます。昨今、長島を世界遺産に登録しようという運動が盛んになってきました。私は、地域おこしの目的でこのような運動に賛同しようとは考えません。賛同するには条件があります。
 まず、島や周辺地域を営利目的で開発しないこと。この土地は、故郷を追われて心ならずも島に閉じ込められた元患者さん達や医療従事者等の職能者・労働者の方々が静かに人生を送ってきた、この方々にとって大切な土地です。物見遊山や興味本位の輩が大挙して押し寄せるようなことは、地元の本意ではありません。
 そして、この土地はカキ養殖の一大産地です。岡山県のカキ出荷量は全国3位です。広島や宮城が有名ですが、地味に頑張っています。私は知り合いの漁師さんから毎年直買いしています。正に、長島のあるここ虫明産のカキを毎年楽しみに食しています。私はもともとカキが大嫌いでしたが、ここの漁師さんのカキを食べて、大好きになりました。スーパーで売っている物とは違うのです。山があって崖があって海がある、カキ養殖に必要な条件が整った素晴らしい環境です。開発や無謀な外来人のせいで、この環境を破壊されるのは絶対に嫌です。
 療養所のことを知ってもらい、理解や共感してもらって差別無き世の中を目指す。このことが、亡くなった或いは現在も住んでいらっしゃる元患者さん達の願いです。いずれ、療養所の入所者はいなくなる日が来るのですが、それでも、リゾート地や永続的ではない開発のされ方には賛同できません。バブルの頃の遺物とも言うべき廃墟が島の対岸側には点在しています。実に哀れです。責任を取らない人間の所業。あんな惨めな姿を、島では見たくありません。国有地ですから、妙な切り売りはしないで頂きたいと国民の一人として主張したい。そのことを地元民は真剣に考えていかなければなりません。
 元患者さんと以前、撮影の合間にお話をさせていただいたのですが、その方は「静かに、そっとしておいて欲しい」と。我々と同じように、普通の生活をされておらるのです。入所者によっても意見はまちまちで、色んな考え方をされておられるようですが、大半はこのような意見です。島の方々のお邪魔にならないよう、しかし楽しいおしゃべりや交流を大切に、これからも島の美しさを探しに、通い続けます。

 石井さんの写真展は各地を巡回されるご予定です。
芸人さん、喫茶店マニア、俳優・声優、そして写真家。
色んな石井さんの活動、これからも楽しみです。近隣だと、香川県の大島青松園にも来て欲しいですね。折しも来年は瀬戸内国際芸術祭の開催年。全国から、状況が許せば全世界から、島に、療養所に、沢山の人が訪れ、そこに石井さんの作品もあるといいな。。。帰りに石井さんお薦めの喫茶店へ。良い観光コースですね。私も何か企画してみよう、石井さんのSNSを参考にさせてもらって。石井さん、来年、何か考えといてください。もしかして、既に何か企画案があったりして?勝手に妄想、楽しみです📷

 世の中未だにグダグダですが、こんな空想を考えると、来年も楽しみですね。他所の療養所には行ったことが無いので、撮影+吟行を兼ねて、来年は色んな療養所を見学しに行ってみようと思います。皆さんも是非、石井さんの写真展と、国立ハンセン病療養所を気軽に構えず訪れてみてください。美しい景色と日本人の身近な歴史に出会えます。




石井正則写真展「13(サーティーン)~ハンセン病療養所の現在を撮る~」
瀬戸内市立美術館 3F
2021年12月1日 水曜日 ~ 2021年12月12日 日曜日
https://www.city.setouchi.lg.jp/uploaded/attachment/110909.pdf
https://www.city.setouchi.lg.jp/site/museum/


note Web写真展「13(サーティーン)〜ハンセン病療養所の現在を知る〜」
https://note.com/masanoriishii/n/n232e85616271


石井正則 写真集「13(サーティーン)〜ハンセン病療養所からの言葉〜」
株式会社 トランスビュー
http://www.transview.co.jp/book/b506132.html
https://www.youtube.com/watch?v=_cBPXAfzvbI
石井さんはYouTuberでもあります、作家ご本人による解説。





以下は私の拙作です、参考まで。


画像1

2020/1/3 12:12
Nikon Z6
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
A 1/2000s  f/4  62mm
ISO 100
-0.7 WB-☼ MF PC-Ls


画像3

2020/1/3 12:12
Nikon Z6
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
A 1/2500s  f/4  37mm
ISO 100
-0.7 WB-☼ MF PC-Ls


画像4

2020/1/3 12:19
Nikon Z6
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
A 1/2000s  f/9  39mm
ISO 100
-0.7 WB-☼ MF PC-Ls

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