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#35  ロンドン行くよ! Oxford to London by coach 30代からの英国語学留学記 2018年3月03日その1

土曜日。そして三連休の中日。
そしてこの日は念願のロンドン観光の日。

勿論、一人で向かう。

カルロスはもういないし(無事アルゼンチンに帰れたのだろうか)オヌールなんぞいたら面倒なことこの上ない。

幸運なことに彼は前述の通り祖国トルコから渡英した女の子へのマーキングに夢中のようで、そもそもこの三日間は僕となんぞ過ごす余裕がないらしい。

オックスフォードからロンドンまでは公共交通機関が複数あるのだが、結構離れた位置関係のため、どれも所要時間は1時間から2時間と結構かかる。なるべく長時間ロンドンを楽しめるよう頑張って朝5時台の早起きを敢行したのだ。
渡英依頼、不眠気味ではあるが、夜眠れなくても早起きは辛い。

今回はバス、正確に言えばコーチ、(coach)でロンドンへ向かう。恐らく留学生をターゲットにしたロンドン行きのオトクな往復回数券があることを学校から知らされており、それを事前に購入していたからである。

因みにコーチというのはイギリス英語であり、イギリスではbusは所謂特定地域のみを走る路線バス、coachは地域と地域を結ぶような長距離旅客輸送車を指すらしい。
だがcoachも広義ではbusの一種であり、ネイティブ英国人も厳密に使い分けしているような印象はなかった。英国式英語に異常なまでに誇りと拘りを魅せる彼らではあるがcoachについてはそこまで拘りはないらしい。不思議。


空腹のまま誰も動いていない家をひっそりと飛び出す。
ホストファミリーには今回の旅行のため早朝家を出ること、朝食夕食は不要である旨は勿論事前に伝えてはいたが、皆が寝静まっている異国の他所の家をコッソリ動くのは妙に緊張する。

そして朝食を下宿先以外で取るのも今回が初めて。

ホストの作る晩御飯はそれなりに美味しいのだが、朝食は(誇張抜きで毎日)もさもさするパン、味がしないシリアル、そしてクソデカマグカップに注がれたミルクティーだけが延々とで続けるため、正直完全に飽き飽きしていた。

別に不味いということはないのだが、毎日代わり映えのしない同じ味、しかも味がとにかく薄いので飽きる。
パンもシリアルも渡英するまで苦手ではなくむしろ好きな方ではあったのだが、こうも毎日代わり映えのしない味で、そして妙に乾燥して咀嚼が困難なモノばかり食べさせられるのは辛い。
だが紅茶は妙に美味いので、パンもシリアルも毎朝紅茶で流し込んで消費している。そのような食生活が一か月近く続いているのにいい加減嫌になってきた。
イギリス料理がマズイと評されている理由が肌身で分かってきた。

たまにはいつもの英国家庭朝食メシではない他のモノ、所謂イングリッシュブレックファスト的な物を楽しく食したい、との思いが日に日に増していた。
これは良い機会!オックスフォードのシティーセンターでぜひとも食べよう!

希望を胸にいつものバス停まで歩く
雪は止んでいたが、積雪はまだ一応残ってはいた。
だが道路状況はよく、綺麗に除雪されている。夜間の間必死にインフラ整備をしたイングランドの公務員は優秀なのだろう。
何だかんだで嘗て世界を制した大英帝国、不測の事態のリカバリー能力は流石。

いつもの通学バスも時間通りに来た。早朝の土曜故かガラガラであり、何ら問題なくシティーセンターへ到着

ロンドン行きのコーチ出発までまだ30分以上時間がある。そしてここはオックスフォードのシティーセンター、最も栄えている場所。
いざブリティッシュブレックファストへと洒落こもうではないか!


だがそうは問屋が卸さない。
ほとんどの店が軒並み閉まっている。

まさかのチェーン店含めて。

通学時、イングリッシュブレックファーストサービスを謳うお店がチェーン店、個人店問わず数多く見受けられたが、今日は土曜日。通勤客通学客も見込まれない日である。
ものの見事にオックスフォードのシティーセンターは完全に寝静まっている。

まさかチェーン店ですら閉まっているとは思わなんだ。
ここまで人気がないシティーセンターというのは初めてであり驚く。
前日が未曽有の大雪というのも影響しているのかもしれないが、マクドナルドやスターバックスすら閉まっている。そしてスーパーマーケットも空いていない。自販機なんぞ英国では殆んど普及していないので食べ物どころか飲み物すら気軽に買えない。

空腹の状態でロンドンへ行かざるをえないのだろうか。流石にちょっとそれは辛い。

だが流石に英国オックスフォード。
ターミナルに隣接しているチェーンのカフェだけは空いていた。
残念ながらブリティッシュブレックファスト的な物はなかったので、サンドイッチとそして紅茶を頼む。そういえばサンドウィッチをイギリスで食べるのは今回が地味に初めてかもしれない。

陽気な店員さんにお決まりの言葉「to stay in or take away?」と聞かれたのでin と答えると、「take awayじゃないの!じゃあテーブルチャージ追加ね」と告げられ、チェーンのカフェにも関わらずサービス料が上乗せされた料金を支払わされるシステムに出鼻をくじかれる。

それで出てきたのは出来合わせの冷めたサンドウィッチ、とまさかのティーバック紅茶 with お湯ポッド+金属製の御猪口に入ったミルク。

お湯は自分で入れろということなのだろうか。

これで8ポンド。
日本円にして1200円(2018年3月当時)

サンドウィッチはまぁそれなりに良かったが、カフェでティーバック紅茶は萎える。ここは紅茶の本場英国なのに。

なんというぼったくり!!学校近くの他のコーヒーチェーン店ではそんなことなかったぞ。

初ロンドンという高揚感が一気に冷めていった。


めげても萎えても仕方がない。俺はロンドンへ行く!憧れの大英帝国の首都、ロンドンへ!いざ行かん、バスターミナルへ。

問題なく乗車できるか正直不安だったが驚くほどスムーズ。事前に入手した紙の回数券を運転手さんが古めかしい切符鋏で切る、という21世紀のイギリスとは思えないアナログスタイルには驚いた。


ロンドンまでの往復回数券。イラストが可愛い



回数券を見るとアプリと連携できる的な事が書いてあったが、職員からもアプリじゃなくて紙の券を使え、アプリは絶対使うなと強く薦められたし、今後も何回かこのコーチを利用したが誰もアプリで乗車している人はおらず、全員紙の回数券を使っていたので、オックスフォード・ロンドン間のコーチでは紙の回数券がベストな選択肢なのだろう。


左側が残りの使用回数。乗車の度に運転手さんがイチイチ鋏を入れる。

所要時間100分の旅が始まった。100分は正直結構な時間である。
だが車内はフカフカのシートでトイレもばっちりついている。携帯を充電しできるUSB端子もあり、しかも4GのフリーWi-Fiまである。
そして乗り換えもないので乗り込んでしまえば自動的にロンドンへ行ける。まさに快適そのもの。

ただ唯一の難点は車内が異常に寒い。

わけわからんくらい寒い。下手したら外より寒い

社内でもコート必須。乗客全員完全防寒体制。

基本的にセントラルヒーティング文化なのでエアコンというものへの信仰がないのがイギリス人の特徴なのだろうか?身体を自由に動かせない車内で寒いのはちと応えるがどうしようもない。

でも普段毎日使っている通勤バスは凄く暖かいのよね。休みなく常に運転し続けているからなのだろうか。

100分の快適だが寒いロンドンへのバス旅が始まった。


異国でのこの種の移動と言えば車窓から見る景色を楽しむことである

しかしながら窓から見える景色は変わり映えのしない、重苦しいモノクロームなコンクリート建造群と、彩度の薄い元気のない植物に雪が被った光景ばかり。僕の故郷、東北の国道沿いと悪い意味で雰囲気が似ている

イングランド地元民ですら観光で訪れるほどの世界屈指の超一流建造物がこれでもかと立ち並ぶ美しすぎる町オックスフォードに1か月近く住んでいるので感覚が麻痺してしまったのかもしれない。

ヒースロー空港からオックスフォードへ向かった初日はタクシーから見える車窓にえらく感動したのに。慣れとは怖い。

結局車内ではスマホを用いたロンドンに関する調査にほとんど時間を費やしてしまった。

先日の雪の影響も殆んどなく、定刻通り無事ロンドンに到着。中学の頃から憧れていたロンドン。齢30にしてついに降り立つ。

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