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#8 英国で携帯電話を買う(アンドロイド) 30代からの英国語学留学記 2018年2月13日 その3

やっと最初の授業が終わった。1コマ90分の3コマなのだが、異様に疲れた。英国で英語で英語の勉強と三拍子揃っているのでそりゃ疲れる。

疲労もたまっていたので早々に帰宅、と行きたかったのだが、繋がる携帯電話の入手が必須。

英国でのクラスメイトとのコミュニケーションツールには"whats'up"という日本でいう所のLINEのようなアプリが主に使われており、シナン、オヌール、カルロスの3人にも早く導入するよう言われていたのだが、これを使うためには生きている携帯電話番号を保持していなければいけない。

以前のエントリで述べた通り、日本で購入した中古SIMフリー携帯では英国SIMが上手く作動しなかったため、断腸の思いで、携帯電話毎英国で購入することにしたのである。

先人の英国留学生や現地生活組がどのようにして、どのような機種を英国で購入したのかウェブで一晩中調べたのだが、流石に携帯電話毎現地で購入した人は殆んど見つからず。

少数いたが、全員iPhoneの購入報告のみ

そもそも海外在住者で、WEB上にて自らの海外生活を発表したがる人々というのは大抵iPhoneユーザーと相場が決まっている(偏見)

昔からアンドロイドユーザーであり、宗教上の理由で(前職がAppleのサプライヤーで苦汁を嘗めさせられたため)Apple製品を禁忌としている僕にはアンドロイド以外選択肢が無い。遺憾ではあるが。

先日訪れたCarphone Warehouseでも良かったのが、二日連続同じ携帯電話販売店を訪れるのは何処かバツが悪いのと、ウェブで調べた限りではスリーという通信会社がケチケチ在英邦人の間では非常に評判がよく、スリーの直営店で端末とセットで購入した方がお得なのでは、という先入観がぬぐいされず、スリーの直営店に行くことへ決めた。

スリーのショップはハイストリートから少し外れた所にあるショッピングモールのような一角にある。都内ターミナル駅直下のような近代的な造りで歴史的な建造物が立ち並ぶオックスフォードの街並みとのギャップが大きい。

先日訪れたCarphone Warehouseが家電量販店の携帯電話売り場のような所であったが、スリー直営店は日本のキャリアショップと異なり、妙にスタイリッシュでシャレオツな造り。

そして客が全くいない。

店員もジャスティンビーバーみたいな鼻ピアス付けた若者一人で、退屈そうに常に老人含め様々な人がおり、3時間待ちは普通でありテプラが至る所にペラペラ張られている世俗的な日本のソレとはエライ違いである。

アップルショップ的な内装で何となく察してはいたが、スリーの直営店で売られている携帯電話は最低でもミドルレンジモデル、基本的にハイエンドスマホばかりが並んでおり、自分の需要と全くマッチしていない。

唯一自分の欲求とマッチしそうなスマホがOppoの最安値100ポンド(正確に言うと99.99ポンド)のモノで妥協しようと心を決め、鼻ピアスジャスティスに購入したい旨話しかける。

店員のお兄さんは見かけによらず、かなり誠実な方であった。
何故このスマホを選んだのか、君はどのような人なのかと先ず質問。

留学生であり、半年イギリスに滞在するのだが、日本で買ったSIMフリーのスマホがイギリスのSIMと相性が悪いのか上手く繋がらず、イギリスでスマホとSIMを両方買おうと思った旨、説明する。

鼻ピアスジャスティンは沈み込んだ顔をしつつ、回答してくれた。

まずは日本で買ったスマホが英国のSIMでうまくworkしなかったことは本当に残念に思う。ただ半年間のイギリス滞在で弊社でスマホ毎購入するのは良い考えではないと僕は思う。100ポンドはあまりにtoo muchだよ。このスマホが帰国後、日本で使えるとは僕は保証できないし、正直な話それほど良い性能ではない。日本であればもっと安く質の良いスマホが買えるはずだ。だから君はここではなく、Carphone Warehouseという店で目的に合うスマホを購入した方が良いと思う。イギリス滞在、楽しんで欲しいから

そう告げるや否や、今の場所からCarphone Warehouseまでの道のりを示した地図をグーグルマップからプリントアウトし、僕に手渡してくれた。

弱っている外国人から搾り取るチャンスにも関わらず、彼は総合的な観点からライバル店に行くことを勧めたのである。

彼の指摘は全くもって正しい。
ぐうの音も出ないほど。

だからと言って自分の営業成績を伸ばすチャンスを逸してまで、ここまで世話をしてくれるだろうか。
そして日本のキャリアショップで外国人相手にここまで的を射たアドバイスを送り、他社への誘導を薦められる人がいるであろうか。

日本の"おもてなし"は世界最強というのは思い上がりではないだろうか。

鼻ピアスでジャスティンビーバーみたいなやつでヤバい店員だなぁ、と内心思った自分を大いに恥じた瞬間であった。

英語力ウンチの外人相手だから面倒に思えて他所の会社にリリースした、ということも考えられなくはないのだが、そこは素直にジャスティスさんのホスピタリティに感謝したいと思っている。

彼に厚く礼を述べてCarphone Warehouseへ再訪する。

昨日、僕を接客してくれたアフリカ系店員がいれば気まずいなぁ、と正直思ったのだが、幸か不幸か彼はおらず。

改めてCarphone Warehouseを物色。
昨日は端末まで買うつもりはなかったため、そこまで注意深く見ることはなかったのだが、改めて観察すると、流石の携帯電話専門店だけあり、日本ではまず見かけないローエンドスマホから一級品のハイエンドまで幅広く揃っている。どれもこれも新品というのが凄い。秋葉原の中古専門店ではないのだ。型落ちのローエンドスマホの新品まで普通に売られているのは、当時の日本ではキャリアとメーカーの関係上ありえないことだからだ。

特に目を引いたのはわずか30ポンド(正確に言えば29.99ポンド)の格安ローエンドスマホの新品が平然と売られていたことである。
長期契約とのセット売りではなく、単品購入で日本円にして4500円で新品スマホが買える、という環境は(スペックはRubbishとは言え)凄い。

早速これを持って店員さんに話しかける。往年のアイリッシュパンクバンド、ポーグスのボーカルみたいな人が対応してくれた。

彼もまた、スリーのジャスティンビーバーとは違った意味でとても良い人だった。
笑顔を絶やさす、英語も不慣れな僕が相手であり、店的には大して利益にならないような注文であっても、親身にフレンドリーに対応してくれた。

「まずは昨日弊社で購入したSIMが上手くworkできなかったのはとても残念に思う。そしてこのスマホは正直性能は良くないので、フリーwifiを使ってあなたが日本で買った今持っているスマホをメインに使えば事足りると思う。イギリスはバスや電車、マクドナルドやスターバックスでフリーwifiが使える場所は多いんだ。
フリーwifiが見つからず困ったら、このスマホでテザリングして君が日本で買ったスマホを使えば良いと思うよ。そして留学生であり、イギリス以外に旅行にでる機会があるのであればO2という通信会社のSIMが良いと思う。ここは大手だから欧州域内も大抵カバーしているし、各所にO2契約者専用のフリーWifiスポットもあるから、最安値のPay as you go (注 prepaidのこと)でも通信制限に困ることなく町中でネットができると思うよ」

随所随所でジョークを交えつつ、終始にこやかに実践的な知識を教えつつ対応してくれるオックスフォードのポーグスのボーカル風店員さん。

ただ昨日と異なり、今回はホストファミリーの住所まで購入の際求められたのはちょっと参ったが、30ポンドでスマホ端末、プラス10ポンドでSIMも購入ができた。もちろん、アクティベートも彼が全てやってくれ、通信確認も先日より厳重にやってくれた。

この30ポンドのスマホ、成人男性の手のひらに収まる程度の小型ディスプレイとそれに反した1センチの程厚みがあるチグハグな形状。しかもアンドロイドのバージョンも4.0であり、処理能力も極めて悪く常にカクカクでクソみたいに滅茶苦茶遅く、正直性能はRubbishそのものであったが、一応電話はでき、イギリスの携帯電話ネットワークに普通に繋がり、そしてWhat'supもちゃん起動する。

wifi環境がある場所では日本から持ってきたスマホ、繋がらない場合はこの格安型落ちスマホで過ごすことで何とか2018年の英国で普通に文化的に過ごせる環境は整った訳である。

貧弱な英語力しか持ち合わせていない僕がここまで達せられたのは、両社の英国人スタッフのお陰。

困ったら人に聞く、というのは想定より上手くいかない、というのが人生訓であったが、ここイギリスでは違ったようだ。
出羽守になるなるつもりなのだが、殊に携帯電話ショップに関して言えば英国の方が値段的にもサポート的にもわーくにより遥かに優れているのではないだろうか。

無事、繋がるスマホを入手し、バスに乗って家に帰る。労せず無事帰宅。イギリスの公共交通機関はしっかりしている。

家に帰ると早速シナンにスマホ購入を報告。予想はしていたが、結局iPhoneではなく、訳の分からないアンドロイドのスマホを購入してしまったことに彼はオカンムリ。
晩御飯時も根に持っていたようで、何故俺の忠告を無視してアンドロイドを買ったのか、と度々詰問されてちょっと参った。

ディナー後は即シャワーを浴びてベットに入る。シナンに再度散歩に誘われたが、何だかんだで授業を受けた初日、疲労困憊であり、一人で部屋に籠りたくて仕方がなかった。

先日以上に心身ともに満身創痍だったが、やはり眠ることができない。

流石に3日目で時差ボケというのは考えづらい。

何だかんだで疲れ果てればどこでも眠れる性質であると自負していたが、3日連続ここまで眠れない日が続いた経験は今までなかった。

眠ろうとしても眠れない

だが眠れないと疲弊は日に日に進む。

何とかせねば、と焦れば焦る程眠れない

こうして3日目も一睡もできず夜を明かすことになった。



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