【まくら✖ざぶとん】㉞『椅子取り遊戯』
やれやれ節目だのゾロ目だのと立ち上がった一席がついさっき挙がったが、①まくらは節目がち、②年末は年末で節目、③今年最後に節目の回を、との三段論法、年内にきまりよく四十席に届かせるべく映画が二本立てならまくらは二席立てで帳尻合わそうかって算段で、往年の巨人・大鵬・卵焼きとは似て非なる選挙・台風・ボクシング、国を揺るがす話題が落語の三題噺よろしくはないにせよ三つ重なった日をまくらにしとかねばきまりがわるい。
台風の中継リポーター役に野次馬鹿の起用は字余りを避けて見送り、ただでさえ少ない読者にケツまで読んでもらえなきゃざぶとんの意味なし、まくらを高くしちまったら頭でっかち尻すぼりどころか頭隠さず尻隠れ、〈ヘイsiri〉と落ちを先に聞かれた日にゃ〈まくら✖ざぶとん??何のことだかしりません〉と出落ちの受け答え、出落ちといえば出口調査、与党を支持する与太郎たちと野党を担ぐ野郎ども、議席をめぐる争いが開票の時を迎えれば、王座をかけた闘いのリングにも開戦のゴング。
国を挙げての椅子取りゲーム真っただ中の列島ど真ん中に上陸したのは台風二十一号、国政に新風吹かせた希望の党の失速を尻目に全速縦断、ヒュッヒュと風切るジャブとジャブの応酬にヒュオンヒュオンと風巻く驟(しゅう)雨で道路はジャブジャブ、台風の目は立憲民主、拳闘ならクラス替えだが新党に鞍替えして落選した挑戦者たちは健闘むなしく見当違いの門違い。
票決したほうは防衛成功して票決しなかったほうは政権交代、受け応えあるパンチを繰り出した両腕を突き上げた挑戦者と万歳を繰り返す当選者、「希望なし」と揶揄された絶望の党は終わってみれば無謀の党、ボウにボウを重ねて重なったのはボウシングではなく暴風雨、死人も出たが助かった者もいたのは暴言やら不倫問題で政治家生命を賭した議員もまた然り、勝者と敗者、生還者と落命者が入り乱れた夜も明ければ台風一過、新規政権だからってここぞと心機一転を図るのもいいが、前内閣のツケと再試合のワケを鉄砲水に流しちまってはいけませんよってか。
えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!