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【まくら✖ざぶとん】⑳『練馬心中』

はてさて、やってきたのは節目節目第二十席、いよいよこのまくらタマりタマって二十題、いやまくらだけに二十基か、初夏の兆しで梅雨入りした水無月の二十日二十基めを設置といきたいところだが、あと五日もすりゃ六月二十五日は吾輩の誕生日、二十日二十席と合ったところで二十歳になるってわけにゃいかないどころか三十節目が終わっちまうときた。

三十歳《清濁併せ呑め》三十代野心野放図を盛り込んだ《心を野に放て》打(ぶ)ち上げた標語を三十一歳も継続することを初心に返るがごとく所信表明してみたものの、節目節目で句読点を打(ぶ)ちたがる吾輩は節目がち~、思わず♪ハッピーバースデイ・ディア・ララララー、ハッピーバースデイ・トゥー・ララララー♪に乗せて三十路あるあるも言いたくなっちまうが、長尺を取ってタメにタメるわけにもいかないまくらタメるなら冷静・沈着書く文章量ではなく基数のほう、ヘラすのは冷却・沈降長尺のかかる核燃料棒ではなく原子力発電所基数のほう、まくらと同じ数え方をする原発に結び付けるあたりがやはり三十路を歩く大人の行い
落語を二十題でも覚えられそうな二十歳の小僧のようにはいかない吾輩もまくらなら二十席だろうと五十席だろうとかけられようもんで、二十歳だろうと五十歳だろうとかかるのはの魔法、と強引にくさびを打(ぶ)ち込んで次の展開にこじつけこぎつけるあたりもまさに三十路をのぼる大人の行い
三十路ともなりゃ危ない橋も出てくるのが世の常ならぬ人の道人道に抗う背徳感に冒険心をくすぐられて石橋にひび入れてから渡ってみれば吊り橋効果の相乗効果、まさに相乗りしての花合わせからはじまったにも臆さず六月生まれ牡丹に蝶よ寄って「こいこい!」、もっと鱗粉(りんぷん)振りまいて危ない匂いを嗅がせて戴と恋乞い酩酊して身投げはしねえが迷走してちるところまでちよう練馬心中、人生一度きり、野心に満ちた大博打に乗り出すあたりがさすがに三十一たる大人の行い
野放図に飛び込んでみるの罠、転上等、としどんと来い、飛んで火に入る初夏の主ここにあり!と心を野に放って大見得切れたら掲げた看板に偽りなし、そら清濁も併せ呑んだろう、と最後も最後で強引にこじつけてオチまでこぎつけるのは大人ご愛嬌ではなく今席のご仕様でござい、恋穴にハマらずんば恋路を得ず

えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!