見出し画像

【まくら✖ざぶとん】㉛『蹴まり寿司』

さあ季節は行楽の秋。だからってわけじゃないだろうが甥っ子にせがまれて連れて行ったのは球蹴り観戦、二人っきりじゃ道中の間が持たねぇなら身も保たねぇから子供好きで面倒よき群馬小町を伴えば仮面家族に早変わり

車で甲州街道をくだって向かった調布にあるFC東京の本拠地は誰が略したか味スタ、都合七年も通い詰めた母校の近くとあらば土地があるもんで、最寄り駅の裏手にあるスーパーに停めれば駐車代勘定なし

あいにくの雨模様の影響か試合はボールの収まりどころがない割にシュートの盛り上がりどころもなく横パス、横パス、また横パスの根性なし。縦にばれなければ前線ビックボこと大久保は怒りに吠えるし永井謙佑俊足も生かせず、見どころ名前聞きまつがえられたら日本代表にも入れそうなピーター・ユタカのフィジカルを前面に押し出したボールキープくらい。

なんのこちとら球蹴り歴二十年を超える玄人はだし、拮抗して膠着した戦いにも応えを出せるものの甥っ子はまだまだ素人シューズ子供連れてりゃ方もおのずと保護者目線で、パスワークでかわす大人試合運びもいいが〈最後は個の力〉、観に来た子供たちのために一対一で仕掛けてくれろ。

そうこうしてるうちに試合終了の笛が鳴り、甥っ子にしょんべんさせたらそそくさとスタジアムを後にする。浮いた駐車代でメシを食わせるべく寄ったのは子供目がないが目まではまわらない回転寿司にぎり軍艦から巻物と普段はなかなかありつかない海の幸スズキにぎりなら江戸前だがナガイなんてがいたらさぞ足が早いに違いねぇ、ってのはただ言いたいだけ。

ラーメンにうどん、パフェとベルトコンベアを流れてくるのは寿司だけにあらず、オムライすし若鶏グリル変わりダネならぬ変わりネタ、きわめつけ誰がつけたかシーサラダ。口に入れてもいったい何を食べてるんだかわかりゃせず、シーサラダシーシーチキンシーにあらず、海の幸シーフードならシーサラダ海の菜、口触りと口当たりはよきにつけても、さっきの試合会場といい、その呼び名じゃ味のもとがてんでわかりゃしねぇ。

えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!