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【まくら✖ざぶとん】①⓼⓼『歳食い』

さてはて例年によってこの時期は我が物顔我が事語りする生誕祭ネタだが今年ゾロ目の回とも重なってりゃ節目節目まくらでも使い回して使い古してきたこのフレーズ、知ってる方がいようといまいと、いますよね?と節目がちでありながら上目づかいでお送りしていきたい所存。

「早くも」を意味する「はや」二十代から使ってきてしまっただけに最近はそれに「も」がついての「最早」三十代半ば、早熟な人間であれど三十路に差し掛かれば人生の荒波ビッグウェーブアップダウンも経験してそうな年頃だっていうのに、起伏らしい起伏に乏しく生きてこられたのは幸か不幸か親孝行か親不孝か、どちらにせよを重ねることを自分でめでたいとも思ってなければ周囲に愛でたいとも思われてるはずもなし。恐らくは四十肩五十肩になるまでこのまま右肩下がりめでたさ愛でたさが減るどころか増えていくと信じてやまない人は「お」がついての「おめでたい」中年にならざるを得ず、やがて身も心も童心に返る老後にようやっと自他ともに憐憫入り混じりでめでたがれるようになる流れこそ人生におけるアップダウンなのでは、なんて結論づけりゃまくらっぽくもなるというもの。

最近じゃ最早歳を取るというよりも歳を食うという形容のほうがよっぽどふさわしい気もして、感覚的にはまだ食いはじめたばかりな感じだってのにもうお腹いっぱいだしなんなら胃もたれ気味で胸やけまでする始末、「早くも」これ以上は食いたくなくなってる現状にどうしたものかと悩んだところでどうしようもなし、捉えようによっちゃ一生食いっぱぐれしないものでもあるならせめて美味そうに食うべし。歳を美味そうに食うとはそれすなわち自分らしく自分で肯定できるような生き方をすること、容姿は若さのかわりに若々しさを保って思想はスれずコジれずコリカタまらず、機知と示唆に富んだ語り口に忍ばせるのは滑稽諧謔のおかしみおもしろみ呑み過ぎず溺れ過ぎぬよう量を落とすか泥から脱するかしつつ嗜めば洒落洒脱がついてきて意気や良しかつ粋や良し、あとは数少なくとも気心の知れた仲間との食い合わせさえよくすりゃ人生も味わい深くなるというもの。

まずい不味い嫌がる食わず嫌い若作りに命を懸けるのも一手ではあれど、のかわりに食っていたのが置いてきぼりじゃ残念無念また来年

えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!