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【後編】医療ITシステムって結局どうするのが正解?将来を見据えた有用な使用方法に迫る!

こんにちは、目利き医ノ助note編集部です。
先日、「クリニックITの専門家」としてインタビューをしていただきました(照)
本日はインタビュー記事の後編です!
是非ご覧ください。


前編に引き続き、クリニックの経営の難化が叫ばれる中での医療ITシステムの立ち位置と、有用な医療ITシステムの使い方について「医療ITシステムの専門家」である目利き医ノ助の事業責任者の松岡さんとコーディネーターの加藤さんにお話しを伺います。

【松岡 敬介さん】
中央ビジコム株式会社にて電子カルテを販売する営業職として15年従事。2022年に同社にて目利き医ノ助の事業がスタートすると、事業責任者として、クリニックの相談対応から広報活動まで幅広く取り組んでいる。
【加藤 美潮さん】
目利き医ノ助コーディネーター。看護師として大学病院の集中治療室に勤めたのち、治験コーディネーターとしての仕事を経て中央ビジコム株式会社に入社。前職の「現場の感覚」を活かして相談を承っている。

前編はこちらからご覧ください。


――近年、人手不足が叫ばれている医療業界ですが、医療ITシステムはクリニックにおける人材育成の面においても効果がありますか?

松岡:医療ITシステムは人材育成・離職防止の効果も期待できると考えています。未経験で働き始める人も多い、医療事務を例として考えてみましょう。

もっともわかりやすいのは電子カルテです。クリニックでは今も紙カルテを利用しているケースがありますが、前提として「紙カルテは先生の字が読めないことがある」という問題があります。医療知識がなく入職した人にとって、カルテが読めず仕事が進まないのは非常にストレスです。かつ、カルテの読み取りだけで精いっぱいで、業務の習得にも時間がかかります

電子カルテが導入されていれば、医師が入力したオーダーを確認して、操作するだけで会計作成や書類作成ができるので、マニュアル化が可能です。
また、新人医療事務がつまずきやすいレセプトに関しても、レセプトチェック機能を導入すると難なくできます。

このように、システムに頼ることで未経験であっても就業のハードルは一気に下がるのです。ひいてはそれが離職防止にもつながると考えています。

――医療事務などの他職種を医師が育成するのは難しいのでしょうか?

松岡医師が医療事務や看護師を育成するのは難しい現状があります。なぜなら、独立するまで医師は他職種の人材育成に携わる機会はなく、その道のプロではないからです。

病院の勤務医時代は誰かにお願いしたり仕事を振ったりする立場だった医師が、開業をした瞬間に聞かれる立場に変わります。スタッフの雇用から育成まで一手に担わなければならず、そもそも「医療事務が具体的に何をしているのか分からない」という医師も多いでしょう。

医療事務は他の医療職と異なり、国家資格が不要なので「誰でもできる仕事」と考える人も一定数います。しかし、実際は診療報酬の仕組みを理解し、医療用語を覚えなければ会計やレセプトの作成はもちろん、患者さんの対応もできません。とはいえ、勤務医時代は携わることはなかった医療事務の必要知識を医師が教えるのは困難でしょう。

そこでシステムを利用し、ある程度の業務は単純化かつマニュアル化することで、医師の労力を削減できるのです。

――医療ITシステムの導入によって効率化されるだけでなく、診療以外の多岐にわたる医師の業務が減らせる、ということですか?

加藤医師は「診察」という、自分たちにしかできない仕事を持っていらっしゃるので、そこに集中していただきたいです。これまでたくさんの医師が現場で働く姿を見てきて、医師は何か問題があったときに「自分が多く働けば大丈夫!」と身を削って働きがちなように思えます。しかし、クリニックの経営者である以上、自分を犠牲にしすぎる必要はないのではないでしょうか。
  
ちゃんとした医療を提供するためには、ちゃんとした医師の診察が必要です。医療ITシステムは、看護師や医療事務の仕事を楽にしてくれますが、それによって人材育成や離職率低下の効果を得られれば、最終的に医師の働きやすい環境につながると考えています。

――目利き医ノ助の今後の展望と、利用を検討しているクリニックや医師に伝えたいことはありますか?

松岡:将来的には、目利き医ノ助を「医療業界に貢献できるプラットフォームに発展させたい」と考えています。医師の方々が見るような情報サイトは目利き医ノ助以外にも複数存在します。その内容は開業するための知識や集患のコツなど、幅広く便利です。

しかし、目利き医ノ助はあえてITシステムに沿った範囲に特化して発信をしています。なぜなら、医療ITシステムは今後も活性化していく分野だからです。

2024年現在、医療ITシステム業界は過渡期に直面しています。「医療DX令和ビジョン2030」が掲げられ、電子カルテ標準化をはじめとした施策が検討されていますが、今の段階からそれを理解してシステムの導入やクリニック運営の方向性を考えている医師はほとんどいないでしょう。

我々としてもリソースが少ないので、現時点では相談にのることしかできません。しかし「医療業界に貢献できるプラットフォーム」を目指すのであれば、医療DX令和ビジョンなどの方向性に合わせて「何をするべきか」という発信ができたら良いと思っています。

それは、私たちから情報提供をするばかりの一方通行の関係ではありません。私たちが先生方から勉強させていただくこともたくさんあります。それを他のクリニックで展開したり、業者さんにつないだり、場合によっては医師同士をつないだり。医療ITシステムの悩みを通していろいろなつながりが持てるプラットフォームにする、それが目利き医ノ助が目指すビジョンのひとつです。

目利き医ノ助ではクリニックに関するどんな些細な問題でもご相談を承っています。ご相談は無料ですので、興味を持っていただけた方はぜひ、お気軽にホームページよりお申込みください!

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【取材協力】
ライター・編集:遠藤たまこ
医療関連の執筆を中心とするフリーランスWebライター。医療事務として大学病院・地域急性期病院・クリニックとさまざまな形態の医療機関に従事し、診療報酬請求から医師の診療補助まで多岐にわたる業務経験を持つ。

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