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『新しい文化の提案』がカギ?工夫を凝らしたバレンタイン商戦2021

バレンタインデーは、主要な季節のイベントとして日本に根付いています。市場規模が大きく、マーケティング的にも欠かせないイベントです。

いっぽうで、バレンタインには「しんどい」「面倒」といった声も、男女両方から聞くことがあります。また、感染対策が必要・人と会う機会が少なくなるといった今年の状況は、バレンタインデーのあり方にも影響を及ぼすでしょう。

日本のバレンタイン文化について

日本のバレンタインは独特で、"女性"が意中の男性に"チョコレート"を贈るという習慣があります。他国のバレンタインデーにも恋人たちが贈り物をし合う文化がありますが、性別やプレゼントの種類が指定されているのは珍しいことです。

この独特の習慣は、流通、製菓、百貨店業界などのマーケティング施策として提唱され、日本に根付いたとされています。

「バレンタインに贈り物をしよう」と提案した当初は、実はあまり流行らなかったようです。しかし「女性から男性に贈る」という提案に変えると、新鮮なイベントとして受け止められ、1970年代後半から徐々に流行し、現在では誰もが知るイベントになりました。マーケティングの大成功です。

昨今のバレンタインは、新しい文化の提案が必要

70年代にバレンタインが流行した要因には、「女性から愛の告白をするのは普通ではない」という当時の時代背景がありました。バレンタインだけは女性からも愛を告げていい日として、新鮮に受け止められたのです。

また、年賀状やお歳暮などの「贈り物文化」が元々あったことも、バレンタイン定着に寄与しました。恋愛のイベントとして提案されたバレンタインですが、解釈が拡大し、「義理チョコ」が広まったことで誰もが参加するイベントになりました。

しかし近年は、日本の状況も変化しています。女性からの告白はごく普通のことになり、「女性からも告白できる」という新鮮さは失われました。また、虚礼廃止の流れの中で、職場内のバレンタインの義理チョコ文化にも疑問の声が多くあがっています。

数十年前のマーケティング施策で提案されたバレンタインは、徐々に新鮮さを失い、また時代にそぐわなくなってきました。そのためこれからのバレンタイン施策には、令和の時代に合った"新しい文化"の提案が求められているのです。

各社のバレンタイン施策

バレンタインは非常に大きな市場規模を持っています。しかし今まで通りのバレンタインプロモーションを続けることは、古臭く感じられるかもしれないという懸念点があります。「時代に合っている感じ」を求められるところが、バレンタイン施策の難しいところです。

そんななか、各社はそれぞれ工夫を凝らして、バレンタインのプロモーションを行っています。いくつかの例をご紹介します。

ゴディバ

ゴディバは2018年に「日本は、義理チョコをやめよう」という広告を出しました。それもネットや女性誌ではなく、日本経済新聞に掲載されたのです。

チョコレートを販売するゴディバが、義理チョコ文化に疑問を投げかけるというのは意外に思えます。この広告はたいへん話題になり、ネット上で多くの人に言及されました。義理チョコ文化の是非については様々な声がありましたが、主にチョコレートを買う側である女性の目線に寄り添おうとした点は、多くの人の共感を呼び、好感を持たれました。

そんなゴディバの今年のバレンタインでは、「きらめく想い」と名付けたコレクションを展開しています。会いたくても会えないからこそ、大切な人を思う気持ちが大きくなっているのではないか、その気持ちを応援したい、とのこと。

そして女優、アーティスト、映画監督などとして活動し、SDGsアンバサダーとしても活躍しているのんさんと、コラボレーションを実施しています。多彩に活躍する女性を起用するところからも、「現代の感覚に合ったメッセージを伝えていこう」というブランドの姿勢が見えてきます。

ブラックサンダー

9年前の2012年には「一目で義理と分かるチョコ」のコピーが話題になり、毎年「義理チョコ」を提唱してきたブラックサンダーですが、今年は大きな方向転換を行いました。

なんと「義理チョコを煽りすぎたことを反省し、世界一自由なバレンタインコレクションを用意した」とのことです。

自由なバレンタインということで、多くの型破りな商品が揃えられています。大量のブラックサンダーのセットをはじめ、自分をプレゼントするためのリボン、来年に向けた練習用のマネキン、煮干しまであります。

コロナ禍の状況に合わせて、ECサイトでの販売を軸にしたプロモーションです。プロモーションを伝える手段として、「面白さ」が好意的に受け止められやすいTwitterを大いに活用しています。

たとえば、「世界一自由なバレンタイン」というコンセプトを訴える手段として、Twitterでキャンペーンを実施しました。1月25日~2月5日の期間中に「#それもありでしょバレンタイン」のハッシュタグを付けて、自由なバレンタインの過ごし方を募集したのです。

ユーザーからは、既存の枠にとらわれない発想が数多く寄せられ、バレンタインコンセプトの拡散に寄与しました。寄せられた投稿の一部は、Twitter公式アカウントでも紹介されています。

方向性の大幅転換を逆手に取った、ユニークな取り組みは話題になっています。ECサイトのコレクションは連日品切れ状態です。

メリーチョコレート

メリーチョコレートは、バレンタインの習慣を日本社会に根付かせた一因をつくったともいわれています。1958年に、ある社員がパリに住む友人から欧米のバレンタインについての話を聞いたことをヒントに、日本でチョコレートの販促に結び付けられないかと考えたそうです。

これをチョコレートの販促イベントに結びつけられないだろうかと考え、2月12日~14日の3日間、都内百貨店で日本初のバレンタインフェアを行いました。しかし当時バレンタインデーを知る人はなく、50円の板チョコレートが3枚と20円のメッセージカードが1枚、たった170円の売り上げでした。
メリーのバレンタインヒストリー

最初のバレンタインフェアはあまり反響がなかったようですが、翌年、自分と相手の名前を入れられるハート型のチョコレートを発売すると、「女性が男性に1年に1度愛の告白ができる日」というキャッチコピーと共に注目されました。メリーチョコレートとバレンタインの関わりについて、詳しくは下記に記されています。

日本のバレンタイン文化を広めるきっかけの一つを作ったメリーチョコレートですが、毎年バレンタインの伝え方を工夫しています。

今年のテーマは「わたしのためのJi-Ko-Chuバレンタイン」とのこと。チョコレートを買う人=主役となり、食べたりあげたりして楽しもう!というメッセージが込められています。

多様なコラボ商品や、ユニークな企画商品など、買う人がわくわくできるような商品ラインナップが展開されています。

たとえば戦国時代の英雄たちをモチーフにした「TSUWAMONO(ツワモノ)」シリーズもその一つです。このシリーズは熱心なファンからの人気が高く、毎年バレンタインの時期に販売されています。

Twitterでは、この商品をプレゼントするキャンペーンで、話題づくりを行っています。

ラインナップの中でも写真に撮りたくなるような商品は、Instagramで紹介されています。

オズモール

オズモールは、スターツ出版が運用する「心ときめく“おでかけ体験”」のメディアです。オズモールでは、一風変わったバレンタインのキャンペーンを実施しています。

Twitterで、14文字の小説を投稿するという企画です。

「バレンタイン」や「恋愛」をテーマにした、全角14文字以内の超短編小説を、ハッシュタグ「#世界一短いバレンタイン小説」を付けてTwitterに投稿してください。1人で複数の小説を投稿してもOKです。

小説を書くのは難しくても、14文字ならチャレンジしてみたくなりますね。文字数制限があるTwitterならではの企画です。

#世界一短いバレンタイン小説 で検索すると、誰かが投稿した超短編小説をたくさん読むことができ、エモい気分に浸れます。

まとめ

バレンタインデーの習慣は、新鮮なマーケティングアイディアによって日本に定着しました。時代の流れと共に価値観が変化する中で、バレンタインデーの過ごし方や向き合い方も変化しています。

「新たな文化の提唱」を求められるバレンタインのプロモーションは、他の季節のイベントと比べて難しさがあります。その一方で、関心が高いテーマであるため、ヒットすれば大きく話題化できるチャンスでもあります。

TwitterなどのSNSでは、新鮮な試みや、ユニークなアイディアが、日々話題になっています。そのため、SNSは新しいことを提案するのに適しています。

弊社では、SNSを使ってメッセージを伝える方法や、SNSでプロモーションを行うときに注意すべき点について、ご相談を承っています。多くの人に伝えたい想いがあるとき、是非お力添えさせてください。

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