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Interview with Dr. A. Kondo (1998/6/13) 7

Interview with Dr. A. Kondo (1998/6/13) 7


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(司会者)これはある意味では仏教的な人間性に対する見方ともいえますか。

そうですね。それでね、もう一つやっぱり、passiveの持っている意味はね、あの、患者さんでね、そういうことを見ているとね、やっぱりね、何か一種のregulationというかな、そういう風に、即自分の中にね、こう与えられているという感じ、与えられたという感じを持つことが多いですね。そこで僕はpassive creativityということを云うわけ。これじゃないとね、自分のね、我欲だとか私欲だとか、どうもね、囚われちゃってね、間違えちゃうんだな。もし、照らされて生きる、と。

(質問者)何が照らしているんですか。

そうです。それはね、その、患者さんはね、どう思うかによりますよ。で、何かやっぱりね、そう、そういうことがあるんですね。自然の中に入っていると僕は、これ大事だと思うんだけど、うーん、今までね、森田でも、僕が付け加えたようにね、森田でも、分析でも、我々のね、生命というのはね、自然と接続してね、密接に接続して生きている、照らされているということを忘れていると思います。自然ということをもっと注目しないといけないと思いますね。自然が持っている一つの生命力、そういったものが我々の生命に対する非常に大きく、密接ですね。だからやっぱりそれに対してもpassiveなね、受ける。何か一つ生命的なものを受ける、ね。それがこう、日本的に云うと昔は薫習を受けると云う。薫習というのは、匂いがこう自然に自分に付いてくる事ですね。梅の、梅の満開の頃なんかね、梅の匂いが着物に付いてね、匂いがする。そういうのが自然に付くんだ、こう。それがその自然の働きなんですね。そういうものが大事だと僕は思うんですよね。

(質問者)たとえば英語で、activeというのは望ましい感じがしますね。物を、あるいは物事を選ぶ。常に意識的に意図的に選んで行って、勝利者になる、と。今、仰っているのは、少し違いますね。

違います。あの、その場合はね、あの、自分でobjectを決めてね、object、目的になるわけですね。目的決めるのは何で決めるかというと、自分のdesireで決めるんですね。欲求でね。たとえば、gleeとかという場合もありますね。・・という場合もありますね。貪欲とか性欲とか、そういうのもありますね。そういうものでもって目的を決めるんですよ。これはね、僕はdistractive だと思う。self-distractive、と思うんですよ。それからたとえば、conquestとかね。征服する。これ僕はやっぱりね、distractive、self-distractive。それはちょうど核の競争みたいなもんですね、核の。核を持ってやる、必ず仕返しが来るんです。自分自身もなる。それで全部ね、自分が勝った時にどうなったかというと、仮にですよ、どっちが先にやるかという問題ですよね。先にやっていると、相手を殺しちゃうでしょう。そうするとね、最後は一人。どうしたら生きて行けるんでしょうね。全てのものが核の灰に襲われてですな、植物なんか、切なすぎるでしょう。どうして生きていけるんですか。そしてそれ、一体何が残るんですか。・・・。そういうことでしょう。そういう事を考える。activityっていうのは非常にくだらないということが解ります。そういうことです。で、ところがね、それはね、あの、passionはいつでも、他のものとね、お互いにね、共鳴しながら、ね。お互いにこう共鳴しながら、お互いにこう、行くわけでしょう。響き渡るもの。ピアノの一つにresidenceと云って、この、同じような、あの、音を立てますね。それと同じような人間の本当の深いものっていうのは、そういう風に共鳴し合うもんだと僕は思うんです。だからそういうものがね、お互いの中に鳴り響いている時にね、いつもね、患者の方にもね、お互い、本当にね、共鳴する、お互いにね。そういうことがとっても生き甲斐を感じさせるんですね。人と繋がるってこと、ね。そういう事を考えるといいと思うんですよね。そこで、やっぱりpassiveな態度の持つcreativityというものがあると思うんですよね。まあそういうことがね、どうもね、positive人というか、そういうものがね、activityとかね、そういうものをね、・・・ね、結局今の状態というのは世界の不安な状態というのは、やっぱり、核の、核戦争でもって非常に象徴的に現されていると思うんですね。で、だけども次第に今頃、たとえばfinancialな事を見ていますとね、とにかくある国だけがね、盛んになりますね。他のものもやっぱりね、ダメになって来ますな。みんなで良くならないとね、financialこと、ダメなんですよ。今、アメリカはいいでしょう。で、アジアは全部ダメになりましたね。そうなりますと1位にいるんです、アメリカはね。けどもこれから先はアジアが悪くなっていくとね、どんどんアメリカが大きくなる。そういうことがね、本当に、あるんですね。それはね、やっぱり人間関係にも現れてくる。今までの・・・ね、その、専制的なね、あの、人が失敗したのはみんなそこですよ。ヒットラーそうだしね、スターリンもそうだし。色んな意味でダメですね、本当。

(質問者)さっき仰ったpassive creativityというのは、他の者といつでも共鳴し合う、と仰いましたね。

はい。

(質問者)つまりその、自分の心が非常にこう、オープンで何だかんだ計らわずに、となると、そこに入って来る自然の力というのは非常にactiveに働きますね。

そうです、そうです。そしてまた自分の中に自然なものがありますからね。そういうものでこう自然に、それこそ自然治癒力なんですね。

(質問者)うん。それが常に意図的にこうやろうとか。

そうじゃなくて、自ずから出てくる。自ずから然らしめられる。本当にそうなんです。自然に出て来る。それを自分が本当に体験できるかどうか。

(質問者)木村敏先生が、やっぱりその、自ずから、自らというのは違う、と。自ずからという言葉と自らという言葉は同じ字を書いても違う、と。

違うんです。

(質問者)自ずからというのは、・・・自然と湧いてくる、何ともいえない大きな力。さっき先生が仰ったその、生命というか、共鳴する何か、自分の中に何か、そういうものを感じ取ることが治療の中で大切だ、と。・・(つづく)

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