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「聴く」のではなく、「聴ききる」

こんにちは。

“マネジメント人財の目利き&「大人の学び」の案内人”福岡 明善です。

ことのは 40

「聴く」のではなく、「聴ききる」。

部下育成に頭を悩ませているマネジャーのみなさんが多いのではないでしょうか。育成に近道はありませんし、こうすればうまくいくといった正解があるわけでもありません。しかし、少なくとも実施する必要がある最低限のことはあると思います。

それは、部下の話を聴くということです。

ただ、「聴く」のではありません。大事なことは最後まで「聴ききる」ことです。かなり我慢のいることです。時間もかかります。イライラを感じる人もいらっしゃるでしょう。じっくりと耳を傾けている時間がないマネジャーもいると思います。

それでも「聴ききる」ことが重要です。

しかも「聴く」ことには三つの段階があります。

1)事象レベルで聴く

2)意味レベルで聴く

3)感情レベルで聴く

少し解説をします。

1)事象レベルで聴く

これは、言葉通りに聴くということです。わかりやすく例示します。あなたの部下に海外勤務を目指している若手社員A君がいるとしましょう。当社では、海外勤務の条件として、TOEIC 860点以上を求めています。A君は毎日英語を猛勉強し、TOEICの試験に備えてきました。そしてTOEICを受験し、結果が届きました。730点。A君があなたのもとにやって来てTOEICの結果を告げます。「先日のTOEICは730点でした」。事象レベルで聴くということは「A君のTOEICの結果は730点だったんだ」と理解することと同じことです。それ以上でもそれ以下でもありません。

2)意味レベルで聴く

これは、相手の発言内容をあなたなりに解釈をして、相手が何を言おうとしているのかを推察して理解するということです。A君があなたに「先日のTOEICは730点でした」と話すとき、「A君は今回は海外勤務の条件をクリアできなかったんだな」と認識することができれば意味レベルで聴けたことになります。

3)感情レベルで聴く

これは、相手の発言内容にとどまらず、感情を想像して共感的に反応するということです。A君があなたに「先日のTOEICは730点でした」と話したあとで、「ずいぶんと頑張ってきたのに残念だったね。ショックだよね」などと反応を返すことができれば感情レベルで聴けたことになります。

部下の願望や期待、不安や不満・・・などの話を「聴ききる」とは感情レベルで聴くこととほぼ同義です。

もちろん、通常の業務上の会話は、意味レベルで聴いておけばおおむね問題はないでしょう。しかし、部下の指導や育成の場面での対話においては、感情レベルで聴くことが不可欠です。マネジャー側には我慢強さが求められますし、ついついいろいろなことを言いたくもなります。でも「聴ききる」のだと心の中で踏ん張ってみてください。

夫婦や家族の会話においても、大事な場面では「聴ききる」ことが重要なことは言うまでもありません。

私もまだまだ修行の身であり、「聴ききる」ことは学習途上であることを告白しておきます。

では、また。Bonne journée!

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