見出し画像

未来年表

面白いウェブサイトを見つけた。

https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html

ご存知、内閣府のウェブページの一端である。IT化が遅れているとされるこの国で、目標として掲げられたのは

2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

とのことだった。

この記事では、ムーンショット計画に沿ってどんな社会の技術的変革が予想されうるか、年表の形で記載していこうと思う。年表とは書いたものの、年は書かず、実現するであろう順番に基づいて書く。

【近い未来】

・言語の壁が消失する
少数民族が持つ伝統的な言語を除き、話者が多い多数派言語は、コンピュータによって瞬時に翻訳されるようにる。言語の壁は消え、国による貧富の差がある程度均衡化される。サイバー空間はいとも簡単に国を越境し、土地に縛られないそこは自由に行き来できるようになる。高度な言語表現を用いた芸術すら翻訳できるようになり、翻訳者は人工知能のアシスタント、校正として働くようになる。

DeepL、高度な翻訳ができるウェブサイト

ポケトーク、持ち運べる音声翻訳

・インターネット回線の高速化でストリーミングが加速する
トップIT企業のwebサイトはいまでもリッチである。スマートフォンのブラウザで見てもアニメーションが入っていたり、そのまま通販ページに遷移できたりする。

5Gなどの次世代インターネット回線の実用化によって、通信速度は1Gbpsを軽く超えるようになり、リッチなウェブ体験が更に加速する。ゲーム画面ですらストリーミング配信されるようになり、どこか知らない場所にある強力なゲーミングサーバに接続するだけで、簡単に映画レベルのグラフィックスを持つゲームをどんな端末でもプレイできるようになる。

GoogleStadia、ストリーミング型ゲーム

・一人一VR

インターネット回線の高速化によって、全家庭にVR環境が再現できるスペックを持つ端末が用意されるようになり、固定電話やFAXにとって代われる。音声通話すらレガシーな仕組みになり、ネット回線を使ったビデオ通話がごく一般的になる。

VRによるリモートワークが普及し、ホワイトカラーの間で、航空会社への消費意欲や不動産への投資気運が落ち着く。都心の時価は大幅に下落し、集落から都心までの人口比率の偏りがある程度まで平均化される。場所による制約がほとんどなくなるため、複数の職業を兼業するのが当たり前になる。

ヘッドセットがなくてもVR環境を実現するソフトウェア

・現金の無価値化
すべての現金は電子マネーとなり、物質的な硬貨や紙幣は、アンティークとしての価値はあれど、貨幣として無価値なものとなる。決済システムはビットコインなどの分散型と国による中央集権型の両方が使われ、用途によって使い分けられる。

現在では貨幣が無価値化していたりはしてないが、QRコード決済、ICチップによるキャッシュレス化の推進や、トレース不可能な仮想通貨の登場によって、犯罪などの取引に仮想通貨が浸透していることなどから、半分実現していると言っても過言ではない。これを加速させるとた場合の問題は、文化的背景や慣れ親しんだ仕組みからどうすれば離れられるかであり、技術的な問題のほとんどは解決している。

バラマキキャンペーンを乱発したPayPay

トレースできない仮想通貨、ZCash

・マイクロドローン、ナノマシンのプロトタイプが完成
ドローンの小型化が加速していき、蚊のようなサイズにまで縮小される。最初のうち、これは軍事目的の無人偵察機として開発されるが、次第に医療目的や撮影目的など、さまざまな用途に使われるようになる。

埋め込みタイプのICチップが実現している上に、スマートフォンの進化からもわかるように、コンピュータのプロセッサは小型化が加速していている。それが虫のようなサイズにまで縮小されてもおかしくはない。ホルモンバランスのために段階的に投与されるピルや、徐放剤(リスクを抑え、過剰投与できなくするために徐々に体内に放たれる薬)は、アナログなナノマシンと言えなくもない。

[[Micromechanical Flying Insect]](https://en.wikipedia.org/wiki/Micromechanical_Flying_Insect#:~:text=The%20Micromechanical%20Flying%20Insect%20(MFI,at%20University%20of%20California%2C%20Berkeley)(Wikipediaへのリンク、二次ソースのため信憑性に欠けることに注意してください)

ID2020、埋め込みチップによる個人情報のトレース

避妊のための無線式インプラント

iPS細胞で人間の仕組みをシミュレートする

・モバイル端末のバッテリー、電力供給の問題が解決する。
一日中稼働するイヤホンやスマートウォッチ、スマートフォンなど、省電力化やバッテリーの大型化で既に実現しているものも多いが、もはや人々は端末をケーブルに繋いで充電する必要すらなくなり、自動的にワイヤレスで供給される電源を用いるようになる。

電力供給装置のサイズやコストなどの問題はあるものの、商品化から普及までは目に見えていて、実用化される日も近いだろう。

電池が切れないモバイルデバイスの実現

・人間がセミサイボーグ化する
すでにスマートフォンやウェラブルデバイスによって、現代でも人間は半分サイボーグと化していると言っても過言ではないが、先に述べた端末の極小化、人体へのインプラントデバイスの実現などで、少しずつ人間がサイボーグとなっていく。

オートチューンを埋め込んじゃったラッパーNessly(フェイクの説もあり)

・技術的特異点(シンギュラリティ)の現実化
ロボットがロボットによってプログラムされ、生産されるようになる。自律駆動のみならず、自己診断、自己解析を独力で自己完結させるようになる。ロボットが肉体労働を行うのは人道的であり、健康を損ねる心配がないため、倉庫などの単純な肉体労働のほとんどが完全に自動化され、人間はプロジェクトの管理や工場そのものの設計、システムの改良案など、知的労働に多くのリソースを割くことになる。

Amazonでは倉庫を少しずつ自動化している。

自動化だけでは解決しない労働の問題、照明のない倉庫に向けて、Amazonの取り組み


~~この辺でムーンショット計画の第一目標到達~~


【遠い未来(ムーンショット計画実現後)】

・完全なサイボーグの誕生
機械と人間の境目がほとんどなくなる。既にスマートフォンで実現しつつあるが、コンピュータは操るものではなく繋がるものになる。BMI(ブレインマシンインターフェイス≒脳に直接繋ぐことで情報の取得やコンピュータの操作が可能になるなんらかのデバイス)によって人間は常時クラウドサーバにある大量の情報にアクセスできるようになる。寝ているだけでゲームができるようになるかも知れない。

物理的な脳に置く必要な知識は、広大なネットの海から情報を探しあてるためだけに使われるようになる。
記憶はバックアップされ、ほとんど曖昧なものがなくなる。口論での水掛け論は過去のものとなる。
健康でも義手や義足を使うようになり、肉体的な制約がほとんどなくなる。これらによって、人口の高齢化による問題の多くも解決する。
生粋の人間とロボットの境目が曖昧になり、その違いはどの程度のコストを消費するか、背の高さはどちらが高いかなど、物理的な差のみとなる。サイバー空間ではロボットと人間の区別をつける意味がなくなる。

言語は脳に直接インストールする仕組みになり、単語や文法を暗記する必要がなくなる。個人の語彙は、オーソドックスな言語パックに加えて自ら(あるいはアバター)の経験に基づいて随時追加される。

・一億総マネージャー
常に数体〜数十体のロボットを操り続ける生活様式になり、それらこマネージメント能力が個人のスキル、評価、生産性に直結するようになる。労働はロボットのためのものになり、ロボットに生産をさせながら、人間の肉体は別のことをするようになる。複数のデジタルデバイスを所持、使用している現代人からしてもさほど難しい話ではない。スマート家電などもその一端と読み解くこともできる。また、ロボットのみの工場(簡単なものではベルトコンベアなどの工場化、自動化)が増えていることからも、現実味があることがわかる。

・デジタルネイチャー
落合陽一氏が提唱する計算機自然が実現する。ロボットはそれ単体で生産から運用まで完結し、自然のように生態系が形作られる。
ロボットの生産工場がロボットによって作られるようになり、その運用コスト、生産コストもロボットによって賄われ、人間の生活必需品はそれらの余剰資源から生み出されるようになる。効率化された食料工場は、贅沢をしようとしなければすべての人間を賄えるほどになる。
よって、人的資源は最低限度の生活をどう豊かにしていくかに焦点があてられるようになる。

・劣化のない"シェア"の実現
経験は、お互いの脳をインターネットを介して繋ぐことで、劣化のない状態でシェアすることができるようになる。脳内ホルモンがまったく同じ状態に保たれ、クオリア(個々人が抱く質感)すら共有できるようになる。人種差別や性差別は減り、富める者の中でも貧困の地域へと寄付する者が増える。情報を得るのにメディアを介す必要はなくなり、感覚としてニュースや事件を味わうことができるようになる。これにより統合失調症、躁鬱病や、エンパスの症状が現れる人間たちが増える。

・不動産屋が廃業する
場所を選ばないインターネットへの常時接続が実現したことで、土地にほとんど価値がなくなる。不動産屋の地位はドメイン屋にとって代わられ、3Dプリントの組み合わせによってローコスト化した建築業よりも、高性能なサーバーインフラが重要視されるようになる。

etc.

他に追記アイデアがありましたら、記事などの情報付きでコメントをお送りくださいませ。

サポートはすべて本を買うお金として使われます