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『Berry』

2024年4月15日、月曜日。「春眠暁を覚えず」の言葉が頭に浮かぶ、爽やかな眠気を誘う春の陽気。

縦長の1Kに住む私の部屋には、私のこだわりが詰まっている。南向きの掃き出し窓を覆うのは、光をあえて通す質感が好きなリネンのレースカーテン。そんな窓に対して垂直に置かれたのは、無垢材のすのこにスチールの脚が特徴的なベッドフレームと白のリヨセルで覆われたマットレスにシーツと枕。ベッドのヘッド側の壁に架けられているのは、優しげで眠そうな目をしたゴールドの毛並みをした雄のライオンを捉えたA2のポスター。

そんな私のお気に入りに囲まれつつ午前7時半ごろに寝床からようやく腰を上げた私は、週の開始日を軽やかな気持ちで迎えられたことを感謝しつつ、いつも通りやや熱めのシャワーを浴びて広尾のジムに向かった。トレーニングで背中を追い込んだ私は、再びシャワーを浴びてビジネスカジュアルの服装にさっと着替え、建物を出て明治通りを渋谷方面へ歩いた。明治通りの桜並木における様子は、緑の葉が増殖し最盛期が過ぎた様子ではあったが、今日もなお通行人の気持ちをなだめてくれる美しいピンクの舞を見せていた。

ヘッドホンでポッドキャストを聞きながら桜並木を歩いていた私は、広尾のシティベーカリーに入店し、サラダと卵のサンドイッチ、ホットのアールグレイを注文し、テーブル席に腰掛けた。パソコンを開いて本日のToDoを整理していた私は、ふと前方に帽子を被った20代女性がニコッとしながら私に対して何か言いたげな様子で立っていた。思わずにっこりと笑顔を返そうとした私に対し、その女性は私の生え際あたりを指差しながら桜の花びらが前髪に載っていることを教えてくれた。思いがけない指摘に対してとっさにスマホのインカメラで状況を確認した私は、たちまち顔を赤らめつつ、花びらを右手の人差し指と親指で挟んで前髪から取り除き、食材が載ったトレイに載せた。

そんなちょっぴり恥ずかしい思いをした私は、見ず知らずの私に指摘をしてくれた感じのよい女性に出会えたことに感謝しつつ、4月半ばの月曜日を晴れやかな気持ちで開始するのであった。

PS 夕方に立ち寄ったスーパーで見かけた丸々太った美味しそうないちご。498円と通常よりも安く購入できたことに満足しつつ、こうして日記を書きながら美味しく頂いた。

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