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アイントラハト・フランクフルトの唄

ヨーロッパのまんなか
という曲があります。

とっても、アツイ曲です。
歌を「唄」と書いてしまうくらい、土着感の強い、郷土愛の強い曲なのです。

Im Herzen von Europa
この曲は、森の中にあるスタジアムでよく歌われてるみたいです。
夜は真っ暗でお化けが出そうな森です。

この森とスタジアムは、大学病院と国際空港に挟まれた、なんともいわれぬ場所です。
良くいえばのどか、悪くいえばしけてる。
頻繁にルフトハンザの飛行機が頭上を飛び交います。

かつては、このスタジアムにー今は到底集まれないだろうからー隔週で、赤と黒のユニフォームをまとった人たちが集まってはビールを飲んで騒いでいました。

彼らは他の街のサポーター同様、家族で、友達で、恋人で、でも個人の垣根なく、一つのクラブを熱心に応援しながらも、新参者にも優しいのでした。

75年前の今頃、その街はひどいひどい状況でした。戦争でぼろぼろでした。
ドイツ国内の中でも、被害が凄まじかったみたいです。
街は水を失い、子を失いました。
今やメルヘンちっくな市庁舎の悲惨な姿を見たことがあるでしょうか?
もともと、ものすごく豊かな街でもない、貧しさは底知れなかったのです。
食べるものはなく、寝るところもありませんでした。

そのあとどうやって、復興していったのか、私はよく知りません。
ただ、「ヨーロッパのまんなか」として、お金に強い街になりました。欧州統合のシンボルが街のまんなかにはあり、夜は野ウサギの遊び場になっています。

その街は、ゲーテの街でもあります。
どうしてゲーテがあれほどまでに美しい表現を生み出せるのか、うなづける懐がある街です。
川にはがちょう、鴨、公園にはウサギや鹿、場合によってはリス。各地で放置された田畑は未開のままで、夜には星がくっきり浮かび上がります。
雪が降れば、一晩中明るくて、色んな動物の足跡を見つけることができます。
ゲーテの保養地、Gerbermühleは私のお気に入りの場所でした。

話を戻すと、私はものすごくアイントラハトファンかといわれると微妙ーなぜならドルトムントを応援してるからーだけど、とっても特別なんです。
思い出すだけで、心が温まり、帰りたくなります。

ドイツ杯(DFB Polal)でアイントラハトが優勝した2017年、私は市庁舎で熱気に溢れた市民と共に祝福していました。
その時に皆が歌ってたのが、Im Herzen von Europa
ドイツっぽくて笑っちゃうようなメロディですが、歌詞がアツイ。

Jeder wird sagen, ohne zu fragen, in dieser schönen Stadt am Main
Eintracht aus Frankfurt, du schaffst es wieder, Deutscher Meister zu sein

↑これ、この(美しい)街じゃ誰に聞かなくたって言うまでもなく、またドイツで1番になれるってことみんな知ってるんだぜ、って意味なんですよ。

信じきってる、100%の信頼の寄せ方。こんな風に、何の掛け値なしに、何かを愛せるって。そんな人たちがいるってことを知ってるって。そう思うだけで、毎度励まされます。

最近、鎌田選手がご活躍されてるようで、なによりです。
私が好きな選手はドルトムント時代からErik Durm氏ですがー自分の大好きな選手が奇跡的に自分の第二の故郷にいることが不思議!ーそれは置いといて。

ドイツのサッカーを観る際は、この暑苦しいまでの愛に着目してもらいたい、そう思います。

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