文楽『妹背山婦女庭訓』を観にいく

先日のことですが、『妹背山婦女庭訓』を観に国立劇場へ行きました。二部の観劇前に楽屋へお邪魔してお人形たちと対面。とてもハッキリしたメイクを施され、美しい面立ち。しかし彼らちょっと重い。でも人形遣いさん曰く、力で持つのではなく、軽く持つ。そしてテクニックで操るのです。とのこと。初めは、自分の姿をお客様に感じさないように、人形に演じさせるのが難しいとお話しされていました。

作品は初めての演目で、一部を見ずにいきなり超盛り上がる場からだったので、難しかったですが、面白かったです。今回は三列目の席だったのですが、しかし太夫さんたちが気になって気になって、ずっとそちらばかり見ておりました。

素晴らしかったのは千歳太夫、そして印象深かったのはその日のトリの場を演じた希太夫!

本来は呂太夫という師匠が1人で語る場だったのですが、病欠で急遽、希太夫に代演が決まったそうです。義太夫の上手さ下手さとかはわたしにはまだわかりません。けれど、希太夫の命がけで、ともかく必死に演じている迫力がヒシヒシと伝わってきて、それが嫉妬の中もがき死んでいくお三輪ちゃんとも重なり、なんとも言えない興奮と感動を感じました。

千歳太夫は大判事を演じていましたが、たったいま切腹した息子が命と引き換えに守ったはずの許嫁・雛鳥が死んだと悟った「ヤア雛鳥が首討ったか」という台詞に胸を打たれました。

ヤア、という感嘆詞が、聞いている方も辛くなってしまう、胸が痛くなってしまう、内臓が動かされて、心まで動かされる、そんな声でして、大判事の無念さが迫ってきました。ああ、うまく書けない!

ともかく、こんなことが人間にはできるんだな、と感じてまるでエスパーみたいだな、と。

こんな演技が脈々と受け継がれてきているなんて、文楽凄すぎる。

そんな訳で、夏は文楽に通いたいのです。しかし大阪かぁ、1週間も行けるかなぁ…

いい演技をたくさん観て栄養にしたい。

http://www.yamanote-j.org/performance/19287.html

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