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映画作品のインテリア 『TAR/ター』編

映画を鑑賞する時、作品の内容はもちろんだが、それ以上に惹かれるのが、インテリアだ。

完全に作り込まれたセットデザインの時もあるが、個人邸にて撮影されることもあり、最近観た映画で心惹かれた作品が『”TAR/ター』である。

映画『”TAR/ター』はベルリンフィル初の女性マエストロの話だ。その内容が狂気すぎて、実際にいるのでは錯覚するほどだが、架空の人物の話である。

そして劇中に登場する、主人公の女性マエストロ、リディア・ターがパートナーの女性と住んでいる自宅が目を奪うほどに素敵な空間なのだ。

その洗練された空間があまりにも主人公の役柄とピッタリすぎて、これはセットデザインだと思っていたが、調べてみると、広告代理店経営者であり、アート収集家夫妻 Christian and Karen Borosの自邸であった。

本当にここに住んでいる人がいるなんて…

しかも、自邸が入っている建物は、なんと1942年にベルリンの中心地に建てられた元ナチスの空襲シェルター。

© NOSHE

それはそれは歴史ある建物で、過去には有名なクラブでもあった場所だ。

こんな空間に自邸とは、スケール感はもちろん、コンクリートハウスに惹かれがちな自分としては、たまらない。

自邸は最上階のペントハウスで、そこにはハンス・J・ウェグナー/パパベアチェア、ハリー・ベルトイアのコレクションベンチなど、現代家具作家の作品がある。

© Ailine Liefeld / FvF.

また、所々に飾れているアート作品がとても独創的だ。

”こういう空間にこういうアートを飾るとこんな感じになるのか”っといったように、自分なりの空間の捉え方ができ、新しい発見があった。

こうして、映画鑑賞はインテリアコーディネートや空間作りの学びができる。

実は映画は最高のインテリアの教科書なのだ。

しかも座学ではなく、ヴィジュアルから吸収でき、脳内に強力に残すことができる為、瞬間でインプットでき、更に鮮明なヴィジュアルがアウトプットを容易にしてくれる。

映画はストーリーを楽しむだけのものではない。

インテリアの観点から観ると一味も違う鑑賞ができ、感性が磨かれるので、様々な映画を観ることは本当におすすめだ。