優しさ

──────優しさって怖い。


そう思ったのは、今日の出来事があったからだ。
僕は、体育の授業で、体調を崩した。
それは、病気が関わってた。
……その病気に気付いたのは、今年の事である。
無理をしすぎた。
でも、無理をしたかった。
皆は、楽しそうに動いてるから、自分も楽しく動きたい。
だけどそれが不幸を招いた。
その後の授業がマトモに参加出来なかったのである。
皆は……。

「ねぇ、大丈夫?」
「無理しないでね。」
「何かあったら言ってね。」
「大丈夫だよ。」

と、心配をしてくれる。
皆……優しすぎるよ。
優しすぎて怖いよ。

『ごめんね、皆……。』

僕はそう思いながら、皆に見られないように顔を隠して、泣いた。
小さく、こっそりと泣いた。
なんで、こういう時だけ、優しくしてくれるの?
なんで、こういう時だけ、構ってくれるの?
普段、話さない子からも心配された。
普段、話してくれる子からも心配された。
皆、温かいオーラがした。

……だけど、その優しさが怖い。
偽りのないような、優しさがとても怖い。

嘘をついていいよ。
仮病だって思ってくれてもいい。
心配なんかしないで。
そう思う自分も居た。

皆、優しいんだね。
自分の事、心配してくれるんだね。
そう思う自分も居た。

ずっと、健康で生きてきたんだと思ってたのに……。
自分の体はそれを嘘にした。
病気って辛いんだね。
別に……死ぬって所まではいかない病気だけど、人より疲れやすいらしい。
自分の体を大切にしないとな。

……そして、なるべく、人に迷惑をかけないようにするんだ。
無理にでも、無理をするんだ。

もう、あの偽りのない優しさに、触れたくないから。
心配をかけられたくないから。


──────そう、怖いから。

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