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大谷徹奘さんの言葉「日々のくり返し これを楽しむ人となれ」

 同僚がふと口にした言葉が心に残った。「日々のくり返し これに飽きた人が負け」。

 感染症の拡大が続き、不安で暗い気持ちになりがちな毎日だけど、生活するためには仕事に行かなければならない。憂うつな朝も何とか起きて、ルーチンをこなす。いつになったら、世の中が落ち着くのだろうか、とため息をつきながら。

 そんな時に同僚から聞いた言葉に、ハッとした。「たしか有名なお坊さんの言葉だから、たぶんググれば出てくるよ。」と聞き、検索してみた。

 薬師寺の執事長を務める大谷徹奘さんがメール配信している法話のアーカイブで、この言葉に出会うことができた。大谷徹奘さんが若い頃、暑い日も寒い日も早朝からお寺でお堂に向かう際、「日々のくり返し これに飽きた人が負け」という言葉を自分に贈って、勤行していたのだという。

  修行を重ねるうちに、

今は早暁の空の色をはじめ虫の音・草木の香など、五感に触れる多くを感じ取れるようになり、自分を包む世界を楽しんでいます。気が付けば辛抱の心は薄らぎ「日々のくり返し これを楽しむ人となれ」と、良さを享受できるようになっていました。

という(薬師寺大谷徹奘ホームページ メールde法話会 配信アーカイブ 第10回より引用。強調表示はnote筆者)。

 この言葉に出会って、私は最近、日々のルーチンを愚直にこなすようにしている。

 心がモヤモヤしていても、朝、目が覚めたらすぐにストレッチをしてしまう。日中はできるだけ多く歩き、動く。熱中症に気をつけながら短時間、日に当たって汗を出す。よく噛んで食事をする。先々のことを心配しすぎずに、一日無事に過ぎただけでヨシとして早く寝る。

 毎日淡々とルーチンをこなすうちに、たしかに季節の移ろいを楽しめるようになっている。早朝の風の温度が毎日変わってくること、蝉の鳴き声の種類が変わってくること、真夏になって野良猫たちの散歩に出会わなくなったこと。

 味気ない都会のオフィス内でも、日々の小さな変化が面白い。隣の席の同僚が毎朝セブンイレブンで買ってくるコーヒーは、春まではホットで、オフィスに冷房が入るまではアイスで、冷房の効いた真夏にはまたホットになる。彼女の「温冷」の選択を見ると、私と温度感が似ているなぁと感じる。換気のために窓開けしているトイレで、熱風が入ってこない日には、今日は涼しくてラッキーだなぁと思う。

 ため息が出がちな時期には「日々のくり返し」を愚直にやり、同じような毎日の中に小さな変化を見つけて楽しむ。思考が暗い方向に向かうのを断ち切るために、とてもよい方法だと感じている。

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