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2023年6月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。

ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方はこちらもぜひ。

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら

光が死んだ夏(3巻)

昨年末に、作者・モクモクれん先生にインタビューさせていただいた際、表紙は空の色を意識していると。並べたときに時間が経って空の色が変化していくのがわかる……という演出をしたいと仰っていて。 それ以来、こうして並べるのが密かな楽しみになっている。

徐々に明らかになっていく“ノウヌキ様”の存在。いやもうさ、“ノウヌキ様”って名前が不穏だし怖すぎる。こういう得体の知れない恐怖っていうものをじわじわと描くタイプのホラーが本当に大好きです。早くも次巻が待ち遠しい。

少女事変

2022年12月~2023年4月まで、講談社の少女マンガ・女性マンガアプリ「Palcy(パルシィ)」で連載されていた『少女事変』。なんとその作者・日向まれ先生は弱冠17歳、現役高校生! 学業と並行しながら制作された本作は、美麗な筆致で綴られる鮮烈なノワール・サスペンスとしても話題に。

そんな『少女事変』がこの度電子書籍になったということで、日向まれ先生にインタビューさせていただきました。作品とあわせてぜひご覧ください。

クロエマ(1巻)

“逃げ恥”でお馴染み、海野つなみ先生の最新作『クロエマ』。境遇や価値観が違う2人が歩み寄ることもなく、友情も介在せず……でも呼吸するかの如く連帯していく。 「立場が弱いと嫌われないよう気を遣う、とはいえ自己主張もしないと生きていけない」現代の隔たりや欠落感を感じるセリフにも痺れる。Real Sound ブックさんの連載「漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画」でも紹介している作品です。

みちかとまり(1巻)

「わたしの中に修羅がおるのです!」「薮からスティックになによ」とか。 田島列島先生の作品に何気なく登場する、静かに強烈なパンチを放つセリフが大好なので、LINEスタンプ化してほしい……とここ数年ずっと思っています。そんな田島列島先生の最新作『みちかとまり』がすっごく面白かった。表紙からは想像もつかない濃ゆい展開。一言でいうならジュブナイルホラーっぽい作品。誘われ、惑わされ、不思議な読後感。

情熱のアレ(全4巻)

集英社「BAILA」7月号で「大人の性のもやもや悩みに“発見”と“寄り添い”をくれる漫画」というテーマで、BAILA編集部・バタコさんとマンガMee編集部・あじまさんとおすすめ作品についてお話しさせていただいたのですが。その際に紹介したのが『情熱のアレ』。

同棲している彼氏とのセックスレスに悩むマキ。そんな時、急遽手伝うことになった実家のお仕事が実は“大人のオモチャ屋さん”だったというお話。アダルトグッズ業界の裏側に触れられるので、お仕事マンガとしても大変読み応えのある作品!

米蔵夫婦のレシピ帳(1巻)

最愛の妻が遺したレシピ帳をもとに料理を作る、食べるーー。グルメマンガとして捉えることもできるけど、悲しみを乗り越えるのではなく、真正面から向き合い、食べることで心身ともに復活していく…….“グリーフケア”に着目したすごく新しい、そして大変意義のある作品だと思った。

妖怪の飼育員さん(1〜13巻)

まるで動物園かのごとく“妖怪園”が存在する世界。そこで新人の妖怪飼育員として奮闘する主人公の日常を描いた作品。数ある妖怪マンガの中でも、こんなにもたっくさんの種類の妖怪が登場する点、そして妖怪と人間を対比させることで人の汚さや業の深さを描いているところが面白いし新しいなと。

続く道 花の跡(読切作品)

今はなき職業・計算手たちにフォーカスを当てた話題の読み切り。今年に入ってから「AIは将来、人間の仕事を奪うのか」と度々話題になっているけれど、まさにそんな今だからこそ刺さる、考えさせられる作品。過去から今に至るまでの過程をもっと見たい(ものすごいドラマがあると思う)ので、連載化してほしい〜〜と思った。

ダイヤモンドの功罪(1巻)

1巻が発売されるやいなや、速攻売切で話題の『ダイヤモンドの功罪』。天才は理解されない。いや、したくても凡人には理解できぬ領域に在るのが天才だ。 ゴッホやベートーヴェン、歴史に名を残した天才は奇人として語られる事が多いがその裏には計り知れぬ孤独、故の怒りがあったのかもしれない…….。天才の葛藤、そして凡人が無意識に天才たちを傷つけているのかもと。天才と凡人について鬼語りしたくなるマンガ。Real Sound ブックさんの連載「漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画」でも紹介している作品です。
ちなみに、“天才と凡人”というキーワードが刺さった方は、日本橋ヨヲコ先生の『G戦場ヘヴンズドア』もぜひ読んでほしい。

いつか死ぬなら絵を売ってから(1巻)

アート界において“プレーヤー”は作家だけではない。画廊やパトロン、美術館…様々な領域からアートに関わる者たちの思惑、アートが金に変わる瞬間を鮮烈に描く。 アートにマネーゲーム、成り上がり、バディものが掛け合わさった衝撃作。Real Sound ブックさんの連載「漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画」でも紹介している作品です。

葬送のコンチェルト

第14回日本国際漫画賞で最優秀賞に輝いた台湾マンガ。例えるなら台湾版“おくりびと”。 国によって異なる葬儀事情。だけど故人を悼み、過去と今を問う……根っこにある部分は世界共通なのかもしれない。あと人生における“傷み”って生きている証なんだなと。Real Sound ブックさんの連載「漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画」でも紹介している作品です。

彼女のエレジー(1巻)

全く新しいアプローチでギャグマンガのセオリーを切り拓く『彼女のエレジー』。本作を読んでいると真っ先に襲い掛かってくるのが「いや、この主人公なにしてんだ」というなんだかポカンとした脱力感。だけど、その後にやってくる「下ネタは諸刃の剣!」や「ただ変顔するだけなんて作家がやったら打ち切りレベル!」など思わずうなるようなパワーワード。やがて、思わずニヤリとしてしまうシニカルな笑いにじわじわと侵食され、気付いたらこの世界にどっぷりハマってしまう。そして、何より『彼女のエレジー』を読んでいると試されているような不思議な気持ちになる。あなたにこの笑いがわかるのか?  と。ギャグがお好きな方はぜひ一度この世界に飛び込んでみてほしい。Real Sound ブックさんの連載「漫画ライター・ちゃんめい厳選! 6月のおすすめ新刊漫画」でも紹介している作品です。

天幕のジャードゥーガル(2巻)

歴史は物語であり、誰かの人生なのだと。『天幕のジャードゥーガル』を読んでいるといつもそう思う。学生の頃って、テストがあったから点数を取るために歴史の一つ一つを情報として捉えて頭に叩き込んでいたけどさ。次巻でさらに物語が動きそう(良くも悪くも)なので、早く見たいような、でも見たくないような……。

人形の墓

夏といえばホラー。絶妙に人が少ない夜の電車でホラーを読むのが好き。 そんなわけで今月後半の帰り道のお供は美内すずえ先生のホラー傑作短篇『人形の墓』でした。 呪われた一族や人形……登場するモチーフが王道にしてマジ怖い。あと、びっくりするぐらい壮大な展開が待ち受けているので、ホラーというかミステリーファンタジーとしての面白さがある。美内すずえ先生といえば『ガラスの仮面』ですが、実はホラー作品も多く手がけていらっしゃる(むしろ初期はホラーがメイン)ので、ガラかめしか読んだことがない方はぜひ『人形の墓』も手に取ってほしい〜〜!

2023年6月雑記☔️

まずは毎回恒例の今月のお仕事報告から。

▼ インタビュー:「週刊スピリッツ」森七菜さん×オジロマコト先生 スペシャル対談

「週刊スピリッツ」に掲載の「森七菜さん×オジロマコト先生 スペシャル対談」にて、取材&執筆を担当させていただきました。 映画『君は放課後インソムニア』は絶賛公開中! 映画を鑑賞する前にお二人の相思相愛な対談をぜひに。

▼ インタビュー:「マツコ&有吉 かりそめ天国」番組チーフディレクター・秋山直様

コミックナタリー様にて、「マツコ&有吉 かりそめ天国」のマンガ棚に置く作品を選定されている番組チーフディレクター・秋山直さんのインタビュー記事を担当いたしました。

マンガ好きなら絶対に気になっていたはず。バラエティ番組「マツコ&有吉 かりそめ天国」の番組セットである“マンガ棚”の秘密に迫りました。マンガを置くようになった理由、あと大のマンガ好きだという秋山さんの選書基準や、マンガ遍歴など......マンガ並みの濃いストーリーが詰まっております!

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あっという間に2023年の半分が終わってしまった。思い返すと、ほぼ毎日締切と取材準備に追われる日々で(実は兼業ライターなので、ほぼ毎日締切はマジで痺れるような日々だった)少しでも歩みを止めたら全て終わる、崩れる…….って思いながら必死に喰らい付いていたなぁと。

でも、そういう緊張感のある日々がすごく心地よくて。多分それは3〜4年前の私が「どうしたらこの仕事をやらせてもらえるんだろう?」って。もうやりたくって仕方なかったお仕事を任せていただいたから。だから、正直体力的にキツイな〜とも思うことはあっても、基本的にはこんなに嬉しいことはないやって。そう思いながら日々原稿と向き合っていました。

そんな嬉しくも怒涛な日々を過ごしていたわけですが、明日から始まる下半期に向けて思うのが「変わりたい」ってこと。ちょっと詳しいことは書けないけど、編集部との関わり方とかコミュニケーション、担当させて頂いている記事の視点や視座。もっと、もっと、変えていきたい。いや、変わりたい、自分が。

成長したい! じゃなくて変わりたい! なんだよな。すっごくニュアンスが難しいんだけど、具体的に何をすべきかは見えていて、5〜6月から種まきするかのごとく地味にやってきたので、下半期にどこまで自分が変われるのか楽しみです。

最後に。上半期の私を(特に徹夜あけにめっちゃ聴いてました)支え、何度も心を奮い立たせてくれたこの曲をシェハピして終わります。

ああ 心よ 静かにもえあがれ
風がいざなう その先の あたらしい明日に
会いにゆこう 未来のわたしに

「夜明けのうた」宮本浩次

さて、今日も明日も明後日も。歩み続けよう。会いにゆこう、新しいわたしに。



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