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今も色褪せない、授業中にこっそりと読んだあの青春と恋愛と闇と。

机の下でぼんやりと光るガラケー。カチカチと音を立てながらスクロールをしてあの物語に夢中になったあの日...。

13年前、高校生だった私はガラケーで無料で読めるとあるマンガに夢中だった。

授業中と読解アヘン

その作品の名前は『堀さんと宮村くん』。HERO先生によるwebマンガで略称は「堀宮(ホリミヤ)」。
2007年頃からウェブサイト「読解アヘン」で無料で公開されていた。本編は既に完結しており、現在は「おまけ」という形で不定期で連載している。

当時は今みたいににスマホはおろか、無料で読めるマンガアプリなんて存在しなかった。
だから、こうして面白いマンガがガラケーで無料で読めるなんて高校時代の私にとっては大革命だった。

もちろん、授業中にマンガを読むことはもちろんケータイを触るなんて学生としてはNGな行動だ。けれど、大人になった今、先生の目を盗んでこそっとマンガを読むあの行為自体も学生ならではの懐かしい大切な思い出だったりする。

青春と恋愛と闇と

主人公である堀京子(通称・堀さん)は、美人で派手な容姿とは裏腹に成績優秀で、放課後は家事をこなして弟の面倒を見るという家庭的な女子高生。

ある日、ピアスをした男が怪我をした弟を送りお届けに堀さんの家にやってくる。けれどその正体は、なんと同じクラスにいる地味な男子・宮村伊澄(通称・宮村)。

堀さんは宮村の全くの別人ぶりに驚きながらも、弟が宮村に懐いたことをきっかけに、放課後は宮村が堀家に頻繁に足を運ぶようになる。

物語の最初は、お互いだけしか知らない秘密を共有する堀さんと宮村の関係性にすごくときめいた。そして、恋愛関係に発展する堀さんと宮村さん。宮村は、堀さんの隣に並んでも恥ずかしくない男になろうと、学校でも地味な装いを止めて本来の姿で振舞うようになる。

そんな堀さんと宮村の関係性の変化と共に、同級生の石川くんやユキ、生徒会長の仙石くんなど、個性豊かな同級生たちとも交流が増えていく。

堀さんと出会ったことで自分の世界が広がる宮村。そして、宮村と言う存在のお蔭で弱さを出せるようになった堀さん。

お互いの足りない部分を補って支え合うような尊い恋愛は、いつ読んでも胸の奥がぎゅっとされるようなときめきが蘇る。

『堀さんと宮村くん』は、現在ではGファンタジーでリメイク版となる『ホリミヤ』が連載中だ。

原作はHERO先生、作画は萩原ダイス先生で『堀さんと宮村くん』と比較すると、ギャグ要素は少し抑え気味でより少女マンガ度が強めの仕上がりになっている。

高校生ならではの青春や恋愛が詰まった本作だが、私が一番印象的だと思うのは「闇」の部分の描写である。

宮村は堀さんと出会ったことで"天然腹黒男子"な一面が全面的に出るようになり、時に面白いキャラとして物語を盛り上げるが、幼少期は友達がいない孤独な少年だった。そんな宮村の心の闇となる部分が回想シーンと共に登場するのだ。

また、堀さんの宮村への愛も時に歪んだ形で物語に登場することがある。少女マンガではやんわりと避けられがちな"一歩進んだ彼氏彼女"の描写を余韻たっぷりに描きながら、堀さんが宮村にする歪んだ愛情表現が大人になった今も忘れられない。

もはや「闇回」とも言える、ちょっぴり薄暗いエピソードの数々は、見てはいけない扉を開けてしまったような...。だけど、誰の心にもあるのであろう人間らしい部分に触れたような...。不思議と嫌な気持ちにはならないものだった。

堀さんと宮村くんにまた会えたら

なぜ、私が2021年になった今。高校生の頃に熱中した『堀さんと宮村くん』のことを思い出したのかと言うと、また堀さんと宮村くんに会えるからだ。

明日1月9日から待望のアニメ版『ホリミヤ』がスタートする。

マンガとは違って、色彩溢れる世界で動く堀さんと宮村くん。あの時私を夢中にさせた青春と恋愛と闇たちは、今の私にどんな感情を呼び覚ますのだろうか。

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