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#映画感想文332『恋する惑星』(1994)

映画『恋する惑星(原題:重慶森林/Chungking Express)』(1994)の4Kリマスター版を映画館で観てきた。

監督・脚本はウォン・カーウァイ、出演者はトニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武。

1994年製作、100分、香港映画。

みんな恋をして、失恋をしている。男性の刑事だって失恋をしたら、昔の恋人が好きだったパイナップル缶を食べ続けたり、ブリーフ姿でぬいぐるみや石鹸に話しかけたりする。香港の男性は情緒不安定だと思わせる描写が続く。

ちょっと抜けた女の子も恋に落ちれば、わざと待ち伏せしたり、不法侵入して模様替えをしたり、勝手にCDを入れ替えたりする。

それだけの映画で、特にあらすじはない。映像的な楽しさがあり、活力に満ちていた頃の香港を見ることができる。俳優さんたちの存在感、造形の美しさが圧倒的で、それだけで辻褄を合わせるような強引さがある。イメージが優先されて、非常に映画的な作品だともいえる。日本の1990年代の作品の多くは、本作の影響を受けていたのではないかと思われた。

(当時のウォン・カーウァイとガイ・リッチーにはそのようなブランド力があった)

正直に言えば、わたしはもっと緻密な脚本が好きだ。しかし、本作の俳優陣にはどうにも抗えない魅力がある。

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