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#読書感想文 マイケル・カニンガム(2003)『めぐりあう時間たち』

マイケル・カニンガムの『THE HOURS めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人』を読んだ。翻訳者は高橋和久さんで、日本では2003年4月に集英社より出版されている。アメリカでの出版は1998年だ。

実は、映画をレンタルDVDか何かで観て印象に残っていたのだが、原作を読んでいなかったことを急に思い出した。

主要な登場人物を演じるのはメリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマンと豪華なメンバーである。

原作の中には、姿の見えない撮影中のハリウッドスターとしてメリル・ストリープの名前が挙げられていたので驚いた。

小説は、三人の女性の主人公の一日の挿話が交互に展開し、ある結末に向かっていく。

高橋和久のあとがきによれば、この小説は、作家のヴァージニア・ウルフを描くのみならず、技巧や登場人物まで、さまざまに彼女の小説からの引用が見て取れるのだという。

この小説の冒頭でクラリッサは、街における人々の営みを描写しながら、それが、わたしたちが生きる理由だと述べる。その感覚が、今のわたしにはわかる。一人の人間は、この世を構成する一つの要素なのだ。それは評価する必要がない、ただ、そこにあるものなのだ。

この映画が公開された当時、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』に挑戦したのだが、最後まで読み通すことができなかった。意識の流れという手法が使われており、とりとめがなく、読み方が掴めなかった、という苦い記憶がある。

光文社の新訳のほうで、再挑戦してみたいと思う。

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