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#映画感想文299『哀れなるものたち』(2023)

映画『哀れなるものたち(原題:Poor Things)』(2023)を映画館で観てきた

監督はヨルゴス・ランティモス、脚本はトニー・マクナマラ、出演はエマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ。

2023年製作、142分、イギリス映画。

ベラ・バクスターは結婚生活に絶望し、身重の体で川に身投げをする。死体を探していた科学者が彼女を見つけ、彼女は一命をとりとめる。しかし、科学者は実験として、自死を選んだ彼女の脳を取り出し、赤ん坊の脳みそを彼女の頭の中に入れる。つまり、赤ん坊と母親は二人とも死んだとも言えるし、二人とも生きているとも言える。

一人の女性が生まれ直し、学び直し、生き直すことを描いている。そこにはどうしようもない性衝動、生殖の問題もある。男性による支配欲、加害欲、家父長制も描かれている。

しかし、がに股で歩くベラによって、その寓話性が強調され、グロテスクでカラフルな美しい世界が壊されることはない。

冒険すること、経験することの重要性が説かれているが、結局、絶望を克服するには学ぶしかない。本を読んで先人たちの知恵を学ぶことでしか、我々はこの行き止まりを突破できない。ベラの知性が急速に発展するのは、本を読んだあとだ。そして、その成長は自分を創造したGodであるDadを苦しみから解放することを選んだことからもわかる。

映画館で観るべき作品で、できれば一人で観た方がよいと思う。熱烈ジャンプはさすがに気まずい。(字幕の松浦美奈さんは天才です)

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