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#映画感想文326『マッドマックス フュリオサ』(2024)

映画『マッドマックス フュリオサ(原題:Furiosa: A Mad Max Saga)』(2024)を映画館で観てきた。

監督・脚本はジョージ・ミラー、出演はアニヤ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース、トム・バーク。

2024年製作、148分、アメリカ映画。

世界が滅亡した後の暴力と強奪が基本の、圧倒的に男性が優位な世界。女性はまさに生む機械で、男児を生むことでしか存在を認めてもらえない地獄。支配層以外の男性はみんな神風特攻隊的捨て駒。見事に地獄。

映画的な娯楽はあふれんばかりに詰め込まれている作品だった。バイクが走り、トラックが荒野を駆け抜け、爆破、爆破。銃撃戦、格闘、逃走する者もいれば、走って追い詰める者もいる。

フュリオサは母親と故郷を奪われた囚われの身でありながら、復讐に身を焦がす。男から髪を触られ、性的対象にされれば逃げる。彼女は自由をあきらめていない。抑圧を肯定しない。

根底にあるのはフェミニズムで、ジョージ・ミラー監督は以前どこかのインタビューで「私の母親はすごく優秀な人だったのだけれど、女性だから職業的な成功をおさめられなかった。それは残念なことだったよね」というようなことを話していた。そのような視点を子どもながらに持てた人だからこそ、女性の人物造形がうすっぺらにならずに済んでいるのだろう。

映画の冒頭でフュリオサが追い詰められ、終盤でフュリオサが追い詰める側になる対比は、映画的カタルシスに満ちていた。だるいシーンが一つもない。すごい映画だった。

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