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#映画感想文261『明日に向って撃て!』(1969)

映画『明日に向って撃て!(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)』(1969)を映画館で観てきた。

監督はジョージ・ロイ・ヒル、脚本はウィリアム・ゴールドマン、出演はポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード。

1969年製作、110分、アメリカ映画。

タイトルからドンパチばかりの西部劇だと思っていたら、大間違い。テンポの良いコメディ映画で、いい意味で裏切られた。

舞台は19世紀末のアメリカ西部。強盗団「壁の穴」は銀行強盗や鉄道の襲撃を繰り返していた。ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)と相棒のサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)のバディものである。

彼らは盗みを働いているが、マフィアではない。基本的に殺人はしないが、泥棒や強盗は気楽にやってしまう。安心して観ていられる二人でもある。

ただ、強盗を続けるのも徐々に難しくなり、ある日、彼らは鉄道会社のオーナーに刺客を送られ、本格的な逃避行の旅が始まる。何と、ボリビアに向かうことになる。前半はアメリカ、後半はボリビアが舞台となる。

彼らは犯罪を楽しんでいるわけではない。楽してお金を稼いで、うまいもんを食べたい、というような享楽的な動機付けで動いている。

途中で、堅気に戻るべきかどうか思案して、「俺たち、もう若くないし、農作業も牧畜も、体力ないし、マジで無理」という結論に達する二人は、堪え性のない怠け者であることを正直に告白しており、笑ってしまった。

まあ、笑いごとではない。毎日、同じことや重労働を繰り返すのには、真面目さや忍耐強さといった才能が必要なのだ。それができない人たちがいても、まったく不思議ではない。

ブッチは人を撃ったことがないので銃撃戦では役に立たない。一方のサンダンスは銃の名手であるものの、泳げないので逃亡の際、川に飛び込むか否かで迷ったりする。欠点のある二人が互いを茶化したり、補い合ったりして旅が続いていくさまは、非常にユーモラスで楽しい。

よく耳にしていたがタイトルすら知らなかった曲を確認する機会にもなった。『Raindrops Keep Fallin' on My Head』というそうだ。よくビールのCMあたりで使われているような気がする。

そして、ポール・ニューマンがどうして名優と呼ばれているのか少しわかった気がした。ポール・ニューマンの柔和な笑みは、何とも言えない魅力がある。時々、おどけたりはするが、ふざけるわけでもなく、皮肉を言ったりもしない。無関心で冷たいわけではないのだけれど、暑苦しさはない。普通っぽいんだけれど普通ではない飾り気のないたたずまいが何ともかっこいい。

ロバート・レッドフォードもちょっと天然ボケなサンダンス役が、とてもハマっていた。

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