一番ぜいたくなこと
先日、書いた記事にみもさんからコメントをもらった。まず、そのコメントを転載したい。
このコメントをもらって、自分の囚われ、べき思考、白黒思考にハッとした。わたしは自己顕示欲や承認欲求も抱えているが、「お金にならなきゃ意味がない」と強迫観念的に考えている自分に気が付いた。むかしむかし、書くことで収入を得ることは、経済的に自立するための手段の一つでもあった。それだけでなく、人に認められ、作品を収益化できるということは、つまり、ある程度のクオリティが担保されていることを意味する。社会的な成功という目に見える形は、自分を安心させることができるし、何かをするとき、他人を説得する材料にもなる。他人に動いてもらうには、何かを誇示しなければならない。それは要するに、まるで他人を信用せず、他人もまた自分と同じように、何らかの証拠やブランドがなければついてこないし、損得勘定でしか動かないはずだという信念(いわゆるビリーフ)が底にはあるのだ。
「わたしはすごい!」と自分でも思いたいし、他人からも思われたい。ただ、現実に「わたしはすごい!」って言っちゃう人を見ると、ドン引きするのも事実。自分で自分のパワーを示さずにいられない人は、はたから見れば可哀相で惨めな人なのだ。しかし、普通の人間どもと違って自分は優れていると言わずにはいられない、自分を大きく見せたいときもある。それは自分で自分に何かを言い聞かせているようでもある。それをやってしまうと、その向こうには果てしない虚無が広がっている。かえって、人からの信頼を失うし、小さな人間宣言になるので、いいことは一つもない。
いやはや、わたしは頭のてっぺんから爪の先まで、どっぷり資本主義に毒されている。金に換算したら、いくらになるのか。金で売れるのか、金で買えるのか。もし、成功にお金が一銭も伴わないのであれば、それを成功と呼ぶことはできないと心の底から思っているのだ。
仮にスポーツがただのスポーツで、商業化もしておらず栄光もないとき、現代の億万長者のスポーツ選手たちは、それでも一生懸命スポーツをやるのだろうか。おそらくやらないと思う。(わざわざグラウンドを借りて草野球をしている人たちのほうが、よほど野球というスポーツが好きなのではないだろうか)
金が行動の基準になっている。気が付けば損得勘定、コスパ、タイパに思考を支配されている。作業は無駄なく効率よくやることを目指すべきで、それをしない人間は愚鈍な悪人のように扱われる。
お金になることは良い。学歴や資格になるものが善。それは利益を生むのか。費用対効果はいかほどか。元が取れないとか、サンクコストなんて大嫌い。
もちろん、お金がなければ生活はすぐさま立ち行かなくなるし、お金を甘く見てはいけない。それはそうなのだが、あらゆる場面において、円換算で考えすぎている。そんな風に考えなくてもいいところでも、お金が価値基準となり、行動を邪魔することすらある。
ビジネス的な思考が日常生活のすみずみにまで入り込んでいる。誰に指示されたわけでもない。自らが望んで洗脳され、それが最善だとすら考えていた節がある。しかし、まあ、そういう思考の癖って、何ともまあ、貧乏くさい。
みもさんが抱いた疑問「どうしてめざましく成功などしなくても、その道を楽しんで生きようという気にならないのでしょうか」は本質的な指摘だと思う。
好きだから、楽しいから、やる。それで十分。
そのように考えられたら、金になるかならないかのあさましさから逃れられたら、清々しいし、それは非常に高潔である。
一番ぜいたくなことは、お金にならないこと、役に立たないこと、意味のないことに、たっぷり時間を使い、一生懸命になれることなのだろう。何が無駄で何が浪費かなんて誰にも決められない。それを決める自由は、自分自身の手に委ねられている。
(ちなみに、このブルボンのお菓子は某ヨックモックの某シガールよりおいしいと思う笑)
このさき、わたしはお金になるかもしれないことに注力するのではなく、お金にならなくてもいいと割り切って、頑張れるのだろうか。その胆力はあるのか。
お金はただの道具なのだから、それをどう使うのかが問題なのであって、金持ちであることを自慢することにさほど意味はない。されど、金の切れ目は縁の切れ目で、お金には人間関係をも断ち切るパワーがある。
自分の卑しさ、ケチくささを再認識することができた。これも人間の業だから、立川流の人たちは肯定してくれるだろうか。
(書き連ねていくうちにどんどんまとまりがなくなっていく。30分程度で書く予定だったのに書き始めてからすでに90分が経過している。とにもかくにも、示唆に富んだコメントをくださったみもさんに感謝。わたしの金勘定思考は混迷を深めるばかりで、これとずっと闘ってきたのだし、これからも闘っていくのだと思う。資本主義、万歳! もうヤケクソ)
チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!