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映画『異端の鳥 The Painted Bird』(2019)の感想

バーツラフ・マルホウル監督・脚本の『異端の鳥 原題:The Painted Bird』を映画館で観てきた。

ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した小説が原作で、監督はチェコ出身、この作品はチェコ・スロバキア・ウクライナ合作である。169分(3時間弱)で、長尺だった。

人間の邪悪さ、醜悪さ、残酷さを煮詰めたような映画であった。主人公の少年は、人類の辛苦のすべてをその小さな一身に引き受けさせられる。

あらゆる暴力がむき出しの恐怖に支配された世界で、少年は生き延びるため、旅を続ける。ロードムービーなのだが、全然楽しくない。

ある種の寓話なのだが、現実にこんなひどいことが起きているわけがない、とは言えないのが人類の悲惨さでもある。そう、この映画に出てくるシーンのすべては、悪夢のような人間の行いのコレクションに過ぎないのである。

ああ、もう人間なんてやめてしまいたい、という気分になる。

鑑賞後、己の暴力性や攻撃性を自覚し、それを抑制しようと改めて思った。怒りのままに、何かを行ってはいけない。人を傷つけても、何もいいことは起こりはしない。自分を傷つけることにもなる。残酷さに身をゆだねてはならない。

よく「目を背けたくなるような」とか「目を覆いたくなるような」という表現があるが、見たくないシーンでは目をつぶってしまった。だって、これ以上、トラウマを増やしたくないもの(笑)

2022年8月7日追記:
なんと、『異端の鳥』が、Amazon Primeで2022年8月より配信となっているではないか。あの地獄をお茶の間でも楽しめるのか。体調の悪い人は先送りしたほうがよいと思う。心身ともに万全な状態での鑑賞をおすすめしたい。


チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!