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#映画感想文『ナイル殺人事件』(2022)

映画『ナイル殺人事件』(2022)を映画館で観てきた。

アガサ・クリスティの『ナイルに死す(Death on the Nile)』が原作である。

ケネス・ブラナーは、監督・製作・主演を務め、八面六臂の活躍。

脚本はマイケル・グリーン、製作にはリドリー・スコットの名前もある。127分のアメリカ映画。

映画館によく行く方なら、おわかりいただけると思うのだが、かれこれずっと予告編を見させられてきた作品である。かなり刷り込まれ、洗脳され、見たい気分にさせられた。

前作の『オリエント急行殺人事件』はテレビで見ており、原作小説も読んだのだが、登場人物が多すぎる。映画も小説も、きちんと把握できなかった。まあ、「犯人(オチ)」は読む前から知っていたので、問題はなかったのかもしれない。

今作の『ナイル殺人事件』を楽しむために、わたしはあらかじめ、アガサ・クリスティの『ナイルに死す』を読んでおいた。

この小説は、非常に映像的な構成で、冒頭のリネットとジャクリーンの会話が生き生きとしていて、一気に引き込まれた。それから、サイモンが『ぼくは女性を所有するのは好きだけれど、所有はされたくないんだ』なんて男女関係の核心をつくようなボヤキをこぼす。ここで先の展開がわかってしまったのだが、これも鮮やかな場面だ。宝石のレプリカと本物をすりかえ、小銭稼ぎをするドラ息子。セックスについて赤裸々に書く作家、と記憶に残る登場人物たちが出てくる。驚くなかれ。なんと、わたしの心をときめかせた原作部分は、すべて映像化されていなかった。(ガーン)

ケネス・ブラナーと気が合わないのだろうか。映画オリジナルの部分は、三作目への布石、伏線なのかもしれない。

今回のポアロは人間としての弱さを指摘されたりもしてしまう。個人的には「もっと超人的、変人的な人物でいいんだけどなあ」と思ってしまった。シャーロック・ホームズだったら、「ナルシスト」と言われても無視をしそうなものなのだが、ケネス・ブラナー演じるポアロは動揺しちゃっているのである。

もちろん、ガル・ガドットはゴージャスで最高だった。(原作のリネットは、20歳前後という設定だったが、そのあたりが変わってしまったので、大幅に改変したのかも。ガル・ガドットは『ワンダーウーマン』だから何をしてもOKというオーラも感じる)

というわけで、原作を未読の方も、気にせずに、映画館に行ってほしい。読んでから行くと、原作との違いばかりが気になってしまうので!

ちなみに、2017年の『オリエント急行殺人事件』では、悪い(嫌われ者の)ジョニー・デップが堪能できる。

3月16日深夜の地震について

映画とは全然関係ないのだが、昨日の地震にはビビった。わたしの住んでいる地域は震度4に過ぎなかったのだが、それでも揺れが長く、恐ろしかった。「日常」は続かないのだと改めて思った。戦争も他人事ではない。気候変動も地球温暖化も目の前にある危機なのだ。そこらじゅうに、感染症ウィルスだって漂っている。貧困もすぐそこにある。世の中は本当におっかない。鈍感に無神経に図太く、開き直って生きるしかないのかもしれない。

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