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妊娠19週 せつが教えてくれること【1】

記録と自分の気持ちの整理のために書かせてください。

2023.12.18
妊娠19週 3回目の妊婦健診

19週といえば、いろんなアプリで「そろそろ性別がわかるかも」とか、「そろそろ胎動が感じられるかも」とか、わくわくするような言葉が並ぶ。そんな時期。

朝、「性別わかったら教えてね!」と出勤前の夫。
「帰ってきてからのお楽しみにしよう!男の子だったら○○、女の子だったら□□ってやつやろー!」と私が言うと、「あんまんと肉まんかな?それだと形でわかるから、やっぱおにぎりの中身がいいかな?」と。
とにかく浮き足立っていた。
初めての子どもの性別がわかるかもしれない日。
それはワクワクして当然だ。私も同じ気持ちだった。

10:00ころ、検診開始。
いつも通り、尿検査・体重・血圧を測り、
いつも通り、診察室で支度をし、
いつも通り、先生がエコーをおなかにあてる。
「赤ちゃん元気にしてますね」
いつも通り、そう言われると思ってた。

しばらく何も言われないまま、おなかの上を行ったり来たりする機械。
先生が口を開く。
「赤ちゃんここにいるんですけどね、心臓が見えないんです」
「サイズもね、今19週なんだけど、15〜16週くらいの大きさでね」
「残念だけどね…         」

先生はいつも通り、淡々と話した。


前日にInstagramで偶然、この境遇になった人の投稿を見ていた。
週数も同じ、19週。
だから、この後どうするかは、頭では理解していた。
そのせいなのか、すぐに涙が出なかった。

先生が診察室から出て行き、看護師さんと2人きりになると、堰を切ったように涙が溢れた。
びっくりするくらい止まらなかった。
小さなお部屋で、看護師さんが声をかけながら落ち着くまでついていてくれた。

ここ1週間くらい微妙に下腹部が痛かったけど、出血はなくて。
まぁ赤ちゃん大きくなってくると伸ばされるもんね、このくらい痛いのは普通なんだ、と思ってた。


夫に言ったら悲しむな、、
お母さんもお父さんも、あぁ、おばあちゃんも。
みんな楽しみにしていたのに。
元気な赤ちゃんを産めなかった。
会わせてあげられなかった。
みんなの悲しむ顔を想像すると、永遠に出続けるんじゃないかと思うほどの涙が出た。

病院を出て、車に乗り、また泣いた。
いつも検診の後は、次の検診日をタイムツリーに入れて、その通知を夫が見て「どうだった?」とLINEをくれる。
そんな流れだった。
でも、今回は私から電話をかけた。
1回目は出ず、すぐに折り返しが来た。
「どうだった?」そう聞く夫の声には、どこか不安が混じっている気がした。
いつもと違う、そう感じたんだと思う。

「赤ちゃんダメだった、心臓動いてなかった、ごめんね」
私はそれ以上なんと言ったらいいかわからず、泣いていた。
今から家に帰ると伝えると、「俺も帰ろうか?ちょっと待ってて、一旦切るね」と言って、電話を切った。

私は家に着き、もうすぐ仕事から帰ってくるであろう母親に、帰ったら電話してとLINEした。

電話をくれた母に、夫に話したのと同じように伝えた。
すると「お母さん今すぐ行くから!」と言い、電話が切れた。

そうしているうちに、家の鍵が開き、夫が帰ってきた。
家に入るやいなや、ごめんねと泣いて謝る私を抱きしめて、nmiちゃんは何も悪くないと何度も言ってくれた。
自分の泣きたい気持ちを抑えて、私をこれ以上不安にさせないように、一生懸命に声をかけてくれた。

インターホンが鳴り、母も来てくれた。
母も、家に入るやいなや、私を抱きしめて、辛かったね、よく1人で家まで帰ってきたね、迎えに行けなくてごめんね、偉かったねと言ってくれた。

私は子どもみたいに泣いた。
母の前では、いつまでも子どもだと感じた。

赤ちゃん楽しみにしてたのにごめんと言うと、「お母さんはnmiと弟が生きててくれたらそれでいい、お母さんの命よりも大切な子どもだから」と言った。

母はいつもこう言う。
この母だから、私は自分自身にある程度の自信を持って生きてこられたんだと思う。
生きてるだけで素晴らしいんだと思わせてくれる。

母が帰り、夫と2人、ソファに座って泣いた。
また夕方に病院に行くことが決まり、それまで何もする気にならずぼーっとした。
ただ、ぼーっとしていると時間が進むのはとんでもなく遅い。
食欲はないけどおなかはすくので、お昼ごはんを食べてみた。
少しでも美味しいものをと思い、冷凍庫にあったピザを解凍した。
私と夫はピザ好きで意気投合したところから今に至る。
だから、ピザは特別なのだ。

夫と向かい合ってピザを食べ、またぼーっとした。
あまりに時間が進まないので、Netflixで VIVANTを流した。
そうしていると、やっと病院に行く時間がきた。

初めて一緒に病院に来た。
もっと、楽しい幸せな気持ちで来れると思ってたのに。
元気な姿のエコーを2人で見たかった。

今の状況とこれからの説明を聞いた。
これから行う処置や手術について先生が話す中、隣に座っている夫が時々頭を下げるような動きをしている。
痛そうだなって思ってるのかな、と私はあまり気に留めず先生の方を向いて説明を聞いた。
すべて聞き終えたとき、看護師さんが「旦那さん大丈夫ですか?」と夫に声をかけた。
見ると、夫は明らかに顔色が悪く、具合が悪そうだった。
「立てますか?」「大丈夫です」「いや、顔色が悪いです!これで運びましょう」とあっという間にキャスター付きの先生の椅子に座らされ、私が朝泣いた小さなお部屋に椅子のまま運ばれた。

小学生がやったら怒られる遊びを、大人が真剣に。
そう考えるとおもしろくて、ちょっと笑った。

運ばれた夫に話を聞くと、処置の説明や手術のリスクを聞き、私の身に起こることを想像して、気分が悪くなってしまったらしい。
痛い思いをして、危険と隣り合わせの手術をして、かわいそうだと。
私の身に何かあったらどうしよう、と。

たしかに、赤ちゃんを失った今、私にまで何かあったら、それはそれは耐え難いだろう。
私は、何がなんでも元気に帰ろうと誓った。

家に戻り、翌日からの入院の準備をした。
入院するときは、おなかが大きくなって赤ちゃんを産むとき、と思っていた。
まさか自分がこんなことになるなんて、想像してなかった。

この日は1日がとても長く、朝の検診が3日前くらいのことに感じた。

ベッドの中でも、夫と泣いた。

明日から痛い処置をして、数日後には赤ちゃんをおなかから出してしまうんだと思うと、なかなか眠れなかった。

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