創作》食
「行った方がいいよ、健康診断」
周りは僕にやたらとそう煩く言う。
うるさいなぁ。
そう思いながら、僕はケーキに手を伸ばす。
たくさんの食の有り難さを噛み締める事の何がいけないんだい?
世の中間違ってるよ。
食べた物を吐き出してまで痩せる事の方が罰当たり。
そして今日も僕は大きくてチャーミングな身体を揺らしながら帰路に着く。
帰ったら、何を食べよう。
最近焼肉食べてないなぁ。よし、焼肉にしよう。
家に帰り着く前に、スーパーに寄った。
すると真っ暗なスーパーの入口に「棚卸しのためお休み」の貼紙。
うーん、しょうがない。
普段使わない商店街へと足を向けた。
精肉店を見つけて入ると、「もう今日の分終わっちゃったんだ」とお店の人。
う~ん、困ったな。
家に何かあったかな。
トボトボと帰宅して、真っ先に冷蔵庫に向かう。
4人以上家族サイズの冷蔵庫には、適度な野菜と飲み物ばかり。
くそぅ、肉がない。
仕方ないので着替えてからまた出掛けた。
家で食べれないなら食べに行けばいい。
外で食べれば片付けも気にしなくていいしね。
るんるん気分で行き着けの焼肉屋に行ったが、明かりが点いていない。
入り口には「店内清掃のため休みます」の貼紙。
なんてツイてない!
近くを歩き回ったが、焼肉屋らしいものは見当たらない。
肉。
肉が食べたい。
ぐるぐるきゅるきゅる、腹は空腹を訴えるだけ。
ふとさすったお腹の弛み具合を見る。
肉、此処にあるじゃん。
野菜は家に沢山あったなぁ。
なんだ、大丈夫じゃん。
僕はるんるん気分で家に向かった。
Original Post :http://novel.ark-under.net/short/ss/122
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