猫の道理
天気も良かったので散歩に出た。
いつもと違う道を行こうと
いつもよりひとつ遠い角を曲がった。
そこへ、見慣れぬ白猫が。
「おやまあ、こんにちは」
挨拶するも
白猫は見向きもせず、足早に通り過ぎた。
さて、次の角を曲がったところ
今度は見知った黒猫の姿が。
幾分気合を入れて挨拶をする。
「今日は暖かですねえ…」
言い終わらぬうちに
黒猫は私をチラリ見て
そそくさと去っていった。
立て続けともなると、私の気持ちも凹むのである。
ため息をつきながら歩いていると
歩道橋に差し掛かった。
黄色い帽子の小学生たちががやかやと
連なって階段を上っていく。
まるでたんぽぽ畑のようだと思い
途端、腑に落ちた。
そうか、下校時間であったのか。
猫が急ぐのも道理である。
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