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戦争は実際に経験してはいけないものだから、しっかり伝え聞くことが大事

 夏季休業前の集会の時に、生徒のみなさんが平和について考えてほしいと思ってお話をしました。

 先日5月に広島サミットが行われました。広島は第二次世界大戦で原子力爆弾を投下され10万人の尊い命が奪われた街です。
 原爆の投下は1945年8月6日、午前8時15分のことでした。
 私は、この原爆投下から25年後の1970年から広島で過ごしました。爆心地からはやや離れたエリアでしたが、近所には被爆している方がたくさんいました。
 隣に住んでいたBさんは、かつてもう少し爆心地に近いところに住んでおり爆風でガラスが割れる中で被爆しました。中学校の友人のⅮ君の母も被爆者でした。直後に市内に親戚を探しに行ったためだそうです。

 広島では、身近な人に被爆者がいない人はいなかったのです。
 ですから、広島の人はみな、この原爆の悲劇を繰り返してはいけないと思っています。「ノーモア・ヒロシマ」を合言葉に戦争の悲惨さを後世に伝え続けています。

 私も、広島で育ったことで実感した思い、つまり、戦争は起こしてはいけないという思いをこうして皆さんに伝えました。
 みなさんは、伝え聞いて自分で考えて戦争はいけないと思うことが大事です。これは実際に経験してはいけないものだから、しっかり伝え聞くことが大事なのです。

 今日は、サミットのメンバーが滞在した平和記念資料館にはどんな展示があるか、簡単に紹介します。
 導入展示として、原爆投下後の広島の街の様子を立体的に体感します。原爆ドームは当時とてもしっかりした建物だったので骨組みだけ残りましたが、ほとんどの建物は跡形もありません。
 被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料の展示があり、その時広島で何が起こったのかを伝えています。原爆投下の時間の8時15分で止まったままの腕時計や、片面が放射線で焼けた仏像や、熱線のため一瞬で形が変わってしまったものが展示されています。
 また、「人影の石」という、住友銀行広島支店の入口階段が展示されています。銀行の開店前に階段に腰掛けていた人は、間近で原爆が炸裂し、逃げることもできないままその場で死亡したものと思われます。原爆の強烈な熱線により周囲の階段は白っぽく変色し、腰掛けていた部分だけが影のように黒くなって残りました。
 バラク・オバマ大統領の折った折り鶴もありますが、平和への思いはあっても、政治は戦争を選ぶことがしばしば起きます。

 悲惨な写真も展示されており、見るとショックを受けるかもしれません。しかし、現実に目の前で多くの人が殺されていくのが戦争です。人の命はかけがえのないものなのに戦争では簡単に人が殺されてしまいます。戦争は、尊い日常を奪ってしまいます。
 なぜ、有史以来、人類は戦争という愚かな行為を繰り返すのでしょう。夏にはテレビや新聞で戦争の特集が組まれることが多いです。ぜひ、戦争と人間の尊厳について考えてほしい。

 私たちも、自他尊重、責任行動をアドミッションポリシーで謳っていますので、人間の尊厳についてしっかり考えましょう。1年4月の交流プログラムではプロアクティブということを学びました。先を見通して、自ら積極的に動いていくことです。世界の未来のためにぜひ皆さんがプロアクティブな行動をしてほしい。ぜひ、自分も他人も尊重し、責任のある行動がとれるよう、先を見通して積極的に行動してください。

 みなさんが夏休みの間に精神的に一回り大人になって、9月になったらまたみなさんが元気に登校してくれることを願っています。

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