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素晴らしき哉、サントラ5:『パルプ・フィクション』

さて今日のサントラは、そろそろ完全オリジナル楽曲のみ、の作品だけでは厳しくなってきたので、既存の曲を使っているものも入れていきます。というか、入れざるを得ない。映画に関しては昨今は、そっちの方が多いくらいですよね。

その代表格のひとつ、『パルプ・フィクション』。そもそも私がサントラCDを購入するようになったきっかけのひとつと言える作品なので、やはり落とせません。

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作品の内容と曲をセットで覚えすぎて、何度聴いたかもうわからないくらい聴いているサントラ。今となっては、作品もサントラも「ああ、コレいいよね~」くらいの感じでとらえられてしまうのかもしれないけど、リアルタイムで見た時の冒頭、ハニーバニーとパンプキンの会話からの「everybody be cool, this is a robbery!」「Honey Bunny: Any of you fucking pricks move, and I'll execute every motherfucking last one of ya! 」からの「Miserlou」と、タイトルの黒字に赤の文字が現れてきたときの衝撃は大きかった。完全にやられました。またしても「あ、コレ好きなやつだ」、です。それがサントラでも冒頭から味わえる、嬉しい! 贅沢過ぎる!

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そんなにも? と思われるかもしれませんが、それまでのいわゆるハリウッド映画は、面白いものもあるけど心をわしづかみにされるとか、自分の好みにドンピシャでハマるものって少ない、と漠然と感じていた身には、内容もサントラも本当に新しいカッコよさと脱力感に溢れてました。「Miserlou」がその後いろんなところでめちゃめちゃ使われるようになったのはご存じの通り。Black Eyed Peasの「Pump It」も鬼のように売れましたね。

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私自身、アメリカの古い曲に明るいわけではなかったので、このサントラで知った曲ばかり。それを選んで使ったタランティーノのセンス自体に惚れたわけです。このサントラは、本編の会話劇がところどころにはさまってくるので映画をなぞっている気分に浸れるところも大好き。(その後のタランティーノ作品のサントラは、ほとんどそうですが)。8番目の「Zed's Dead Baby/Bullwinkle Part II」、の流れも大好き。

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3曲目の「Jungle Boogie」、4曲目「Let's Stay Together」なども、街で、カフェで、ラジオや有線でかかるとすぐわかるし反応してしまう。全部に触れてると長くなってしまうので選抜すると、映画ではユマ・サーマンが部屋でひとりで踊る10曲目、「Girl, You'll Be A Woman Soon」、映画を見ていてこの曲が欲しいからサントラを手に入れたようなものです。古臭い印象で鼻づまりみたいな声の男性の、そんなにクールじゃない曲だとは思うのですが、そのアナクロさがなんとも好き。ユマの酔っぱらい踊りも可愛い。

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映画と同じく良い意味で古い「Surf Rider」で終わっていくかと思いきや、最後にサミュエルの強烈な「Ezekiel 25:17」のセリフで終わるという、頭から尻尾まで吐くほど聴いたサントラです。

試しにコレと同じ年に公開されたハリウッド映画を見てみると、『ジャッジメント・ナイト』『デモリションマン』『ミセス・ダウト』etc.…。『ペリカン文書』『シンドラーのリスト』とか、アクションやお笑い全開ではない作品も多く公開されてはいるけど、やっぱり自分の好みとびったし合う、というわけではなかった(邦画やヨーロッパ映画は除きます)。先にタランティーノが脚本に関わった『トゥルー・ロマンス』が公開されてはいて、そっちは後から見た口。

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音楽の使い方でこんなにハリウッド映画もカッコよくなるんだ、という驚きがホントに大きかったです。それまで、映画の主題歌に使われていた曲を買うことはあったけど、サントラが欲しいとほれ込むものはなかった。そういう意味でも自分にとって、記念的な作品。

ある時期入れ込み過ぎて、タランティーノ関連の本も読みまくっていたのですが、タランティーノが、『マイ・シャローナ』(byザ・ナック)を、劇中のマーセルス・ウォレス がやられるシーンに使いたい、と許可を求めたんだけど(どうやられるのかは本編を見てください)許可がおりず、ウィノナ・ライダーが出た『リアリティ・バイツ』なんてお子ちゃまの映画の方に使われちゃったよ、という話に笑いました。何度でも見られるし、何度でも聴ける大事なサントラ。




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