ミルクラテ

死ねばいい。
あたしなんか消えればいい。
この思いと一緒に溶けてなくなれ。
いつかなくなるものならば
いっそ今ここでなくなって。
あなたの寝顔と
かわいいこの子の瞳に
挟まれたときの温度も
ちょっと硬い毛の感触も
全部忘れて。
カフェラテを飲んだあなたと
ミルクティーを飲んだあたしの
唇がふれたときの味も。
すぐに離れると分かっていて
隣にいることを選んだ馬鹿なふたりの
ほんの少しの幸せは
雨と一緒に全部流してちょうだい。
覚えていたら苦しいから。
あなたがいないと寂しいから。
一人でも平気だった頃には戻れない。
あたしを信用してないあなたが
憎くて悲しくて愛おしい。
どうせすぐ他の男に付いていくんだろって
そんなふうに思ってるんでしょ。
あなただけよっていくら言ったって
これっぽちも信じてないくせに
嬉しいって安心した顔で笑うんでしょ。
短気で口が悪くて適当で
優しくて甘えん坊で正直な
あなたのことが大好きよ。
他なんて見えないくらいね。
先のことなんてわからないし
考えたくもないけれど
とにかく今はあなたを見てる。
ご主人様のあなたには寄り付かないのに
毎日あたしのお尻にくっついて寝てる
可愛い可愛いわんこも大好きよ。
あなたとわんこに挟まれて
寝返りを打つのも大変で
暑苦しくて仕方ないけど
この温度と重さが
あたしにとっては幸せのしるしなの。
ありがとう。
でも、やっぱり消えて。
なかったことにして。
きれいさっぱり忘れさせて。
でないとあたし生きていけない。
あたしの居場所に帰れない。
ここにいてはいけないのに。
ここにいたいと思ってしまう。
だからせめて夢の中では
違う男に抱かれたい。
あなたのことを忘れてたい。
カフェラテが好きなあなたじゃなくて
コーヒーはブラックしか飲まない男に
夢で抱かれて恋したいの。
汚くて醜くてあなたを好きなあたし。
なんて可愛いんでしょう。
目が覚めたら
おもいっきり可愛がってね。
おやすみ。
大好きよ。

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