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学童を民営化する目的

区立児童館及び学童保育クラブ民営化計画(令和3年度~8年度)の「児童館・学童保育クラブの課題と解決の方向性」という章に学童民営化の目的が書かれているようです。「解決の方向性」というのを「目的」と読みかえる必要があるのが、なんとも目黒区らしいですよね。

書かれている「方向性」の文章を引用しながら、一つずつ見ていきます。

新・放課後子ども総合プランの趣旨や区有施設見直し方針等に基づき、民間事業者による運営を基本として、小学校内を中心に、必要に応じて区有施設や民間活力の活用による学童保育クラブ整備を進めていく必要があります。

(1)児童館・学童保育クラブの拡充整備

一見、なにか高尚な事が書かれてる気がしますが、最後の文章を見れば分かる通り、単に「必要があります」ということを確認しているだけです。どこか他人事です。結果的に「何をする」とも「するつもり」とも言ってません。

よってまとめると、

課題:学童保育クラブの整備が必要性
解決策:なし。必要性の確認のみ。

となります。このような意思と責任の無い文章が続きます

今後も民間事業者による運営が増えていくことから、指導・支援業務体制づくりが求められます。

(1)児童館・学童保育クラブの拡充整備

課題:民間事業者の指導・支援体制づくりが必要。行政が民間事業者を増やしているので自ら課題を作り出している感じです。
解決策:なし。求められている事の確認のみ。

国が改正した児童館ガイドラインに示すように、子どもだけの支援にとどまらず、社会のワーク・ライフ・バランスの推進や、子育てを通じての保護者・地 域住民による地域活動等連携の場として、更なる子育て支援の拠点となることや、保護者が気軽に相談でき、子育て家庭を支援していけるよう、より乳幼児 の活動の支援や相談事業を推進していくことが求められています。

(2)児童館の再構築

課題:子育て支援の拠点になるこや、保護者が気軽に相談できる環境づくりなど。
解決策:なし。求められている事の確認のみ。

目黒区子ども総合計画でも重要な課題の一つとしている中高生の安心な居場所 づくりや地域の子育て支援団体への活動支援に対応するため、児童館の開館時間の延長が求められています。

(2)児童館の再構築

課題:中高生の居場所づくりなど。
解決策:なし。求められている事の確認のみ。

令和3年3月策定の放課後子ども総合プラン推進計画に基づき区立小学校においてランランひろばを順次実施していきます。ランランひろばでは、校庭のみならず体育館や多目的室などを活用し、児童が校外へ移動せず安心して過ごす 環境を整えながら運営します。

(3)放課後子ども総合プランの実施

課題:なし
解決策:課題が無いので解決策もないですが、すでに実施しているランランひろばの整備の話が書かれています。ここは「運営することが求められています」とは書かないんですよね。意図的に使い分けてますね。

実施体制については、学童保育クラブとランランひろばを一体的に実施することから、既に学童保育クラブを運営し小学校や地域等から信頼され、さらに他自治体の放課後子ども総合プランのノウハウもある民間事業者による運営が求められます。

(3)放課後子ども総合プランの実施

課題:なし
解決策:課題がないので解決策もないですが、学童を委託してる民間事業者にランラン広場も任せる事が前提条件として書かれています。

目黒区子ども総合計画改定に係る基礎調査(平成31年3月)における小学校 就学前児童保護者調査では、小学校低学年時の放課後の過ごし方として、習い事の次に学童保育クラブを希望する保護者が多くなっています。学童保育クラ ブの利用時間として、前回(平成26年)の調査では19時までの希望が2 6.6%だったのに対し、今回は55.1%となっています。また、小学生保護者調査では、利用学年として6年生までの希望が一番多くなっています。

(4)学童保育クラブの利用時間延長と対象学年の拡大

課題:学童保育のニーズが高い。6年生までの希望が多い。
解決策:解決策は書かれてません。これは単なるアンケート結果です。

令和3年4月現在、利用時間延長の実施は民営のみであり、さらに民間活力の活用などにより社会ニーズに対応していくことが求められます。

(4)学童保育クラブの利用時間延長と対象学年の拡大

課題:利用時間延長の実施が民営のみ。
解決策:解決策は特に書かれてませんが、令和4年からは公営も延長対応される予定です。

会計年度任用職員の確保が困難になってきたことから欠員が常態化しているこ とや、常勤職員の高齢化が進み、児童館・学童保育クラブの経験豊富な職員が 退職する間に、更なる知識・技能の継承を行っていかなければならないことか ら、職員の集約化を進めることで、運営体制の強化を図るなど、児童館・学童 保育クラブの運営体制の抜本的な改革が求められます。

(5)児童館・学童保育クラブの運営体制

課題:会計年度任用職員の確保が困難。運営体制の抜本的な改革。
解決策:なし。求められている事の確認のみ。

持続可能で質の高い区民サービスを提供するためには、児童館・学童保育クラブの拡充整備に伴う経費の圧縮など、行政のスリム化を一層進める必要があります。

(6)財政負担の軽減

課題:経費の圧縮が必要。
解決策:なし。必要性の確認のみ。

課題提起のみで解決策はない

全体を通してみても、アンケートの数値などを入れてそれっぽく見せてますが、課題提起だけして、特に具体的な解決策はありません。行政文章って、そういうお作法なのでしょうか?

民営化の目的は?

仮に「必要があります」と書かれた項目を実施するつもりがあると、肯定的にとらえても、やっぱり民営化の目的はどこにも書かれてませんでした。

過去の「成果」も意味がない

同じ文章に過去の民営化の成果も書かれているんですが、民営化の利点を表してるものはありません。

(1)事業者の運営実績を活かした円滑な運営及び保育の実施 事業者選定の段階で他自治体での運営実績を加味し、また、丁寧な事業引継ぎ を行うことで、民営化した施設の利用者アンケートの総合評価では、公営施設と 同様に「大変満足」、「満足」を合わせて9割以上の回答が得られています。

民営化後の運営状況と成果

公営と同様の満足度しか得られてない。

(2)利用時間の延長及び対象学年の拡大などのサービスの拡充 令和3年4月から、民営施設では公営施設に先行する形で利用時間の延長を実 施しています。対象年齢の拡大についても公営施設と同様に受け入れを行っています。

民営化後の運営状況と成果

民営の方が1年早く着手しているが、令和4年度には民営も公営も同じ条件になる。つまり、今回の学童を民営化する理由にはならない。

(3)施設運営費の圧縮及び財政負担の軽減 民営化した施設は、利用者の満足度が高いことに加え、公営時と比較して施設 運営費を圧縮できており、区の財政負担の軽減につながっています

民営化後の運営状況と成果

保護者説明で数値の根拠としている資料に不備があることは行政も認めている。つまり、現時点で、財政負担軽減を確認できる事実はありません。

繰り返しになりますが、過去の実績にも未来の計画にも、民営化でないとダメな理由は見つかりません。むしろ指導員が一気に入れ替わるなどのリスクだけある状態です。


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