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4日目のサークル対話から大人の気づき

ひよりちゃんが「さらちゃんのチームに行きたい」と朝のサークル対話で発言して、時間的な制約もあり、グループリーダーは一人一人の子ども達の意見を聞き、「みんながそれで良いならそうしよう」と、なりました。

この、「多数決的な解決法」これは本当に公平なのか?子ども達はそれで納得しているのか?見方によっては大人が強制終了したことになるのではないか?なんとも、「もやっ」とした空気が子どもたちの間にも流れていた気がしました。


初代日本イエナプラン協会の代表、現在は顧問であるリヒテルズ直子さんはイエナプラン初級講座の中でこんな話をしてくださいました。

リヒテルズさんは、イエナプランの教育DVD「明日の学校に向かって」の制作のためにオランダ全土のイエナプラン校を取材。現地に日本から撮影班として参加されていた男性は、オランダのイエナプラン校の子ども達のサークル対話に大きな感銘を受けていたそうです。
そして、日本に帰国し、我が子の授業参観に行かれた時のこと、その日は、子ども達がお互いに自分の意見をぶつけ合う素晴らしい対話の時間だったそうです。ところが対話が白熱し、チャイムがなり時間切れ!その時先生が言った一言が、「はい!結論が出ないので、多数決で決めましょう!」だったそう。
オランダのイエナプラン校の取材を通して「対話の素晴らしさ」を体感していた彼は「がっかりした!」と、リヒテルズさんにこぼしたのだそうです。

イエナプラン教育DVD「明日の学校に向かって」ダイジェスト


私自身、10年間小学2年から5年のカブスカウトで、子ども達のリーダーとして様々な活動を体験していましたが、意見が分かれたときは「多数決で決めることは公平なこと」だと思い込んでいました。

ところがイエナプランでは、授業の初めや終わりのチャイムというものがないのです。つまり、「時間だから終わります」が言えない(笑)グループリーダーは、子ども達の状況に応じて、盛り上がっていたら延長するし、子ども達がのって来なかったら早めに切り上げるのも可能なのだそう。つまり、子ども達のバイオリズムを大切にしているのだそう。

「結果よりもプロセスが大事」


そして、もう一つ!これは大きな発見だった!
イエナプランの対話の時間は、「結論が出なければ、出さなくて良い」のだそう。これはイエナプランで大切にしている「結果よりもプロセスを大切にする」という事になるのです。
ひよりちゃんがさらちゃんのチームに行きたい!と、言った。これはひよりちゃんの素直な想い。
でも、他の子達は「今更チームメンバーが1人減るのは困る」というのも素直な想い。それぞれがそれぞれの率直な意見を出していたのです。

結論が出ない対話。その時子ども達はそれぞれの頭の中で、それぞれの頭で、自分の意見として色々なことを考えているのです。ひよりちゃんはひよりちゃんなりの「チームを変わりたい理由」をどう説明すれば良いか?を。
チームのみんなも「今更変えられては困る理由と、なぜひよりちゃんはそんなことを言うのか?他に方法はないのか?」を。
実はサークル対話は結論を出す事よりも、一人一人の子ども達が深く考えるプロセスが重要だと考えているのです。
みんなそれぞれ、違う考えがあって、その考えの背景には、「育った環境や本人の資質や過去の体験や価値観」などがあるのだと言うこと。
「一人一人違うし、違うことに価値があるのだ」という事に気付く事が大切なのです。

一人一人の考えをマインドマップに書き出し、分類分けすることで、協働ができる。


スケジュール通りにやる事が大切なのではなく、もっと対話を深めるために時間をとるのも良いし、結論を出さずに、一旦脱プラショッピングに行ってもらう事で、子ども達は違う視点から、対話のヒントを得たり、相手の考えを、改めて自分なりに深めてみたりする事が出来るのです。

「YESも NOも同等に価値がある」と言う考え方

「NOと言えない日本人」と言うタイトルの本が昔ベストセラーになりましたが、これは日本人が対話ができないのではなく、「YESも NOも同等に価値がある」と言う考え方を学んでこなかったから。
イエナプランの様な対話のレッスンを子ども時代に、学校の授業で受けてこなかった事の弊害なのだと知りました。
結論を出す事が大事なのではなく、自分の頭で深く考える事が大事なのです。
この訓練を4歳から学ぶ子ども達は高学年になると、自分達で自治ができる様になり、対話の時間に、かなり難易度の高いテーマでも、それぞれが、ファシリテートができる様になるのです。


100年前、ドイツのイエナ大学で、イエナプラン実験校を立ち上げた、ペーターセンは、「学校は知識を教えるだけの場ではなく、将来社会に出るための練習の場でなければならない。」と言ったそうです。


日本の学校で学んでいることは、果たして子ども達が社会に出るための練習になっているのだろうか?


そんな事を感じたサマーキャンプの出来事でした。



ちなみに、我が家の孫マヤは、スペイン在住。幼稚園年長の時に2ヶ月「日本の幼稚園を体験する!」と言うミッションを掲げ、うちの家の近くの朝日幼稚園に通う事になりました。

初日、幼稚園から帰ってきたマヤは当然のように「ママ!私あの先生合わないから変えてもらう!」と、言ったのです。


驚く私を尻目に娘は「そうなの?じゃあ、明日一緒に先生にお願いしようね」と、言ってのけ、翌日マヤのお気に入りの先生のクラスにちゃっかり編入してきたのです。


「YESもNOも同じ価値」

をなんの違和感もなく実行できる文化。


今更ながら、対話力について、私は色々と考えさせられたのでした。


我が子が不登校で悩んでいる親御さんに気づいて欲しいのは、目的が何なのか?という事。

学校に行く事だけ(出席日数)を目的にするのではなく、社会に出て行く練習をするための場である学校なのだと考え、親は学校を全ての子ども達が「幸せな地球市民」となるための練習の場に創り上げる(生と学びの共同体)の一員として、学校に関わることを目的として欲しいのです。

我が子の問題だけ解決すれば良い!ではなく、地域の社会の地球の課題を解決すべく、課題に向き合う姿勢が、未来を生きる我が子のためでもあるのだと考えます。









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