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二人のハロウィン

 夫は私と違ってバチバチのホラー作品好きだ。私は小さい頃からかなり怖がりで、大人になった今でも家族がいる間しかお風呂には入りたくないとか言ったりして情けないなと思う。
 怖がりだとしてもホラー作品に全く触れずに人生四十三年なんて無理で、祖母に買ってきた怖い話の本などは読んでいたし、大人になったら当時付き合っていた男の子に誘われて映画館いくつかホラー映画を観たりもした。

 その頃の映画の中で印象的だったのが『シックス・センス』だ。
 夫と十年以上連れ添ってきて、ホラー作品の話になった時に私が「あれは怖かったけど良かったよ」と話した時に夫がいつも言う。
「いいなあ。俺も観たい」
 配信などされていないか探したが、無かったので仕方ないよねと諦めていた。

 十月の下旬頃、なんだか手持ち無沙汰でスマホを手にしてSNSをうろついたりしていて、たまたま配信サービスのアプリを開いてスクロールした。
 そこにあったのはハロウィンにぴったり、と書いた謳い文句で海外のホラー作品が特集だった。海外のホラー作品はワッ!と驚かしてくるビックリ系のものが多い気が殆どなので日本の心霊もの作品に比べるとやや恐怖感は薄れるものの、やはり好き好んでは観ていないので名前は知ってる程度の認識のタイトルと共にサムネイルが並んでいる。何気なしにスルスルとスクロールしていった時。
「あっ」
 思わず声が出た。夫が観たいと言っていた『シックス・センス』がそこにあった。レンタル料金もなく無料の配信になっている。

 夫が平日に休みの時にチラッとその事を話した。予想していた通り「観たい!」となり、昼食が済んだ時間から観始めた。

 拍子抜けするくらい、昔に映画館で観た時より怖くなかった。初見ではないからか、映画館ではないからか、ある程度夫とホラー作品の鑑賞もしたから少し耐性がついたのか、その全部のおかげなのかもしれない。

 これもまたそうなるかもと思っていた事が夫がこの映画の核心の部分をポソッと言い当てた。それに対しては「うーん、そうかも」なんて知らないふり。
 観終わったら夫が言った通りで。その後も色々考察し合った。少年はなぜ教会に行っていたのかとか、作中で出てきた霊の伝えてきた内容に戦慄したこと、主な視点が小児精神科医だった部分が良く作られていたことなど。
 元カレと観た時より段違いに楽しかった。五年は付き合ったのに感想を言い合うなんて元カレとはしなかったからだろう。
  得がたいパートナーに今日もまた感謝を。ハッピーハロウィン!

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