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■魔法のかかっているカフェ

東京に移住したばかりの真夏のある日。
美味しいアイスラテが飲みたくて、ふらっと入ってみた近所の住宅街にあるスタンドカフェ。

こんなところにカフェなんて経営大丈夫?!と思わせるような住宅街の路地裏にぽつりと佇んでいる…。ところがどっこい、常連さんがひっきりなしに入ってきます。

私も初めて訪れたあの日から虜になってしまい、今では週2,3回通うほど大好きな場所となっています。あのカフェには、なにかの魔法がかかっているんだと思います。

コーヒーが美味しいのはもちろん、バリスタさんがとても人懐っこくて優しい。オーナーさんなんて、常連さんが店の前を通りかかっただけなのにカウンター越しから前のめり気味で、まるで飼い主が帰ってきた時の犬みたいに喜んだ顔して挨拶するんです。偶然そこを通りかかっただけなのに、そんな顔で挨拶されれしまったら、今じゃなくても次に寄って行きたくなるでしょう(笑)

そして、お客さん同士も初めて会ったのに気軽に話しかけられる、この雰囲気はなんだろう。一人でふらっと立ち寄っただけなのに、毎回毎回ほっこりした気分をプレゼントしてくれます。

今日はどんな人に会えるかな?今日のバリスタさんは誰かな?なんて、ワクワクして足を運んでる自分がいます。スナックのママのところに通う親父たちの気分ってこれに近いのかな?(スナック行ったことないから、あくまで想像)

常連さんの客層は、若い経営者の方だったり、駐在の外国人とか、セレブの奥様(?!)、プロサッカー選手に出会ったこともあります。たぶん、ここの近くに住む、まだここに住んで5年も経っていないであろうひとたち。住んで長くはないけど、この街が好きな人たち。

プロサッカー選手に出会ったその日。

少し日に焼けて引き締まった身体つきのその男性に「サーフィンか何かされてるんですか?」とバリスタのお姉さん。

「サーフィン、、やりたいんですけどね…^^ 」と答えていた彼の足元をふと見ると、サンダルからのぞく片足の爪だけが変形していました。

サッカーかな?と思い、「サッカーされてるんですか?」と私が聞くと、なんだか少し嬉しそうに自分のチームと元いたチームの話をしてくれました。

私が学生時代に、地元某チームのサポーターとしてスタジアムに通っていた話をしたら、また嬉しそうに私の知っているであろう選手の名前をたくさん挙げてくれました。(そのあと、なぜか名刺まで頂いてしまった)

出会ったのがこのカフェじゃなかったら絶対ここまでお話しさせてもらうことはなかっただろうな、と思うのです。私も、彼のお陰で学生時代に家族でスタジアムに行った楽しかった思い出をふと思い出せることができて嬉しかったです。

「実は明日、引退発表するんです。」と言っていた彼に待っている新しい挑戦が、上手くいくといいな。

バリスタのお姉さんは、サーフィンこそ外れたけど、私が1週間前に話した内容まで細かく覚えていてくれて「そういえばあの時のあれ、解決しましたか?」なんて気にかけてくれたり。(自分も忘れてたことなのに)

その日その日のコーヒーと、ひとりひとりのお客さんに心を込めてちゃんと向き合ってるバリスタさんって、なかなか今の時代かんたんに出会えないのではないでしょうか。

世の、自営業をしている人たちは、一度ここのカフェがどうして賑わうのかを1週間毎日通って研究してレポート1枚書いてみる価値があるのでは。飼い犬みたいに喜んだ顔のオーナーにならなくても、あの店にかかっている魔法をかけられるなら絶対に良いお店経営ができる気がします。

在宅で仕事をしている私は今、外出は娘のお迎えの時だけ。大人との会話はマンションの管理人(とても優しい)と、学童の先生に挨拶する程度。そんな人恋しい引きこもりライフをしているタイミングで出会った素敵カフェ。

まだ住み慣れない街で、あそこに行けば誰かがいる、ほっとする、そんな場所があるだけで何となく心強いんです。

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