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スウェーデン訪問vol.1 雑感

北欧。
社会福祉や教育に関心がある人なら1度は行ってみたい地域なのではないでしょうか。

教育マニアの私も例に漏れず、大学生の頃からずっと北欧に行ってみたいと憧れていました。

そして、遂に念願のスウェーデン出張がやってきました。しかも、シティズンシップ教育・民主主義教育がさかんなスウェーデンで、4年に1度の選挙が行われる、その直前。なんて幸運なことでしょう!!

空の上から、ストックホルムの街並みが見えてくると、感極まって涙が出てくるほど胸が高鳴っていました。

渡航前は、スウェーデンで毎日noteを書いて実況中継するぞ!と意気込んでいました。が…、毎晩、現地の人や日本から行ったメンバーとの議論が楽しすぎて、現地の8日間が飛ぶように一瞬で過ぎ去り、日本に帰国。

帰国してからは、ぐいっと現実に引き戻され、すでに「スウェーデンは幻だったのでは」と感じるぐらいです(苦笑)

このままでは体系立てて記事を書こうとしているうちに、どんどん時間が過ぎていきそう…。なので、まずは、この気持ちと考えが色褪せないうちに今の雑感をまとめます。

意見を言うこととそれを受け止めてもらう経験の積み重ねが土台

就学前学校にて

就学前学校(日本でいう保育園)では、1歳から「自分の意見を言うこと」「自分の意見を尊重されること」「自分の意見が影響力を与えること」「自分の意見と同じように、他の子の意見も尊重すること」を日常生活の中で身につけられるような関わり合いの中で育っていました。

例えば、おやつの時間。

「りんごとバナナがあるよ。りんごは昨日採ってきたんだよ。どっちがいい?」と先生が子どもたちに話し、1人ずつ名前を呼ばれると「バナナ」「りんご」と自分が食べたいものを伝えていました。

写真は遊びを決めるところ。
どんぐりを投票権に見立てて、3つの遊びから今日の遊びを1つに決めます。1人ずつ投票するのを待っている間、先生は「今週末、選挙があるんだよー」と選挙とは何か?を子どもたちと話していました。

こうやって自分の意見を求められる機会が、朝から晩まで無数にあります。それによって、自分の行動が周りに影響を与えることを自然と身につけるのです。もちろん、意見を言って「ダメ」「それは無理」とはなりません。適切なフィードバックがあるからこそ意見表明が身につき、それが民主主義の土台になっているのだということを学びました。

なんで投票にいかないの?!
選挙で自分の影響力を1票に託す

ストックホルム郊外の高校にて

高校2校を訪問し、それぞれ現地の高校生とディスカッションする時間をいただきました。

「投票行く?」と質問すると、「なんで行かないの?」と逆質問される展開に。

日本の若者の投票率は3割?!信じられない!それは民主主義じゃないよ!」と本当にたくさん驚かれました。それもそのはず、スウェーデンの若者の投票率は80%(2018年選挙)を超えているのです。

スウェーデンで話を聴いていると、子どもも大人も”impact”という単語をよく使うなと気付きました。インパクト、すなわち、自分の行動で何かに影響をもたらすこと。

幼い頃から意見を表明し、自分のまわりに影響力を発揮できることを自然と経験し、成功体験として身につけているのだと感じました。これが、後々の政治参加意識の高さに繋がるとは目から鱗でした。

話を聴いた高校生たちは「自分のやってほしい政策を重視する政党に1票を投じる」と当たり前のように語っていました。どうせ自分の1票なんて…と投票に行かない日本とは雲泥の差です。

逆に、日本の投票率の低さは「親や先生の言うことに従うべし」「子どもの意見なんて」と意見を言うことを否定され、たとえ意見を言ったとしてもそれが尊重されてこなかった経験の積み重ねだったのかもしれないとも思うと、ため息を通り越して暗雲が立ち込める気持ちになりました。

日本の子どもたちのことを考えると、まわりの大人の意識を一刻も早く変えなければと思いを強くしました。

子どもへの見方を変えた体罰禁止の法改正

スウェーデンは1979年に世界で初めて子どもへの体罰禁止を法律で決めた国です。体罰禁止は親を罰するための法律ではなくて、人々の規範を変えることを目的としてできました。例えば、車に乗るときにはシートベルトをする、子どもはチャイルドシートに乗せる、その法律と同じ感じです。

体罰禁止を世の中の規範にするために、幅広くさまざまなステークホルダーが啓発活動に寄与したそうです。そのおかげで、大人の子どもを見る目が変わったそうです。

子どもは大人がコントロールできる。
その考え方を変えたのが、体罰禁止
だったそうです。

日本も2019年に体罰禁止の法改正を行いました。その時、私は法改正のロビイングをしていたのですが、体罰禁止を1つのイシューとして捉えていました。

日本でも「子どもをたたいて躾けてはダメ」というメッセージを啓発する以上に、子どもを人として尊重すること、意見表明を大事にすることを伝えていかねばと学びました。

☆今回の内容でもっとここが知りたいということがえれば、ぜひコメントをください。優先して記事を書きます!

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