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元町中華街で見つけた、悟りの茶

 元町中華街を散策中、ひときわ目を引くお茶屋に足を運んだ。店先に並ぶ数々の茶葉の中から、私の目を捉えたのは「蓮の葉茶」の文字だった。中国の歴史ドラマで、美しい蓮の池を背景に麗人が蓮の葉茶を飲んでいる姿に何度か心を奪われたことがある。その情景に憧れ、いつか本物の蓮の葉茶を飲んでみたいと願っていた。

 蓮の葉茶は、別名「美人茶」とも呼ばれ、楊貴妃も愛飲していたという。美容とアンチエイジングに効果があるだけでなく、抗菌作用やデトックス効果も期待できるらしい。早速購入し、自宅で淹れてみた。

 初めての蓮の葉茶は、正直なところ、私の口には合わなかった。独特の風味に戸惑い、美味しいと感じることができなかった。しかし、何度か飲み続けるうちに、その風味に慣れていき、今ではごく自然に飲めるようになった。熱々を注いだ時は鮮やかな緑色だが、時間が経つにつれて次第に茶色へと変化していく様子も興味深い。

 蓮の葉茶は、「悟りの茶」とも呼ばれている。蓮の花は泥の中から生まれながらも清らかな花を咲かせることから、仏教の世界では悟りの象徴とされている。蓮の葉茶を飲みながら、蓮の花が静かに水面に浮かんでいる姿を想像すると、心が穏やかになり、悟りの境地に達したような気分になれる気がする。

 元町中華街で見つけた一煎の蓮の葉茶は、私にとって単なる飲み物ではなく、中国の歴史や文化、そして自然の神秘を感じさせてくれる特別な存在となった。これからも、この茶を愛飲し、蓮の池に咲く美しい花を心に描きながら、穏やかな日々を送っていきたい。

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