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フランス劇場ストライキ


週を追うごとに高まって来ています。

先週だけで、オペラバスチーユのトゥーランドットとシンデレラがストで中止になりました。

何を騒いでいるのかというと、フランスが世界に誇る舞台芸術家intermittent de spectacle身分の条件引き上げ案のせい。

当初、10ヶ月で600時間以上の就業証明提出に変更、って事だったんです。

私も8月まで同じintermittentだったのでそれが大変な事だとわかっているし、これはこの身分自体撤廃しようとの目論見が裏にあるのでは!?と注目してます。

現在は、12ヶ月で507時間以上の就業証明が必要なんですけど、まぁその程度が稼げなくなったら仕事に向いてないって事なんだから、転職考えるわ、と心して仕事して来てました。

とは言え、私立劇場や小さなカンパニーなんかは、3か月はかかる仕事を"2週間分契約書出すから、後は領収書出して(領収書分はカンパニーの税的負担がなくなるため)って酷いところもまた多く、ずーっと働いてるのに507時間ギリギリ!なんて事も多々ある訳です。
特にクリエイター系は、契約期間外の無償仕事も多々あるし。
俳優さんなんて、リハーサルはお給料出ないって人も、いまだに結構いるし!

私はそういう所抜け目ないので、ちゃんと必要分の契約書出してくれるところでしか働いてませんでしたが、それでも駆け出しの頃は否応なく(仕事が少なかったから選べなかった)そんな仕事も引き受けていたし、つまり、その"下積み期間"やってたら今の世代は身分キープが難しくなりそうなので、未来の舞台人育成もままならなくなって来るって危機!

ロックダウン後とかも優秀な舞台人が次々復帰してコロナ前のクオリティをキープ出来ているのも、この制度のお陰で、約2年半無職だった私を含めた仲間たちは、この身分に出る失業保険がその間しっかり受け取れていたから転職もせずにいられたお陰なのです。

せっかく世界に誇る水準のフランス舞台芸術が、転落の危機!

なので、現在intermittent達がこぞってストに突入、そして正社員だけでは成り立たない舞台が続々中止となっている訳です。

ちなみに、オペラ座は正社員の数も減らされて来ていて、intermittent(契約社員)で補っている訳ですが、彼らが身分キープ出来ずに助けに来てくれなくなったら、オペラ座だって閉座の危機ですよ!
正社員増やせ〜。せめて減らした分増やせ〜。

で、9日の彼らのストライキで勝ち得た新条件。

12ヶ月で610時間。(クリエーター陣は580時間)
その程度はそもそも稼げてない人たち、向いていないかむしろ失業保険目当ての人たちも沢山いるんじゃないの?と実は思ったりもする(なぜなら本当にそういう人たちー507時間だけ働いたらあとは失業保険もらいつつ闇でも稼いだり、ただ遊んで暮らしたりーが大勢いて、真面目なintermittentまでもが世間から嫌われているのです)って言うのは、彼らにはナイショね🖐🏻

新制度では、今いるintermittentsのうち3分の1は身分失う計算だとか。

これは、以前あったオデオン座占拠(見出し写真)並のデモとストが続きますね。

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