【3分でわかる】『永遠の0』レビュー
【あらすじ】
主人公の佐伯健太郎(さえき けんたろう)は、祖母の通夜が行われた夜に、母から祖父とは血が繋がっていないことを聞かされます。
血が繋がった本当の祖父の名前は、宮部久蔵(みやべ きゅうぞう)。
第二次世界大戦中に、特攻で亡くなったとのことでした。
司法試験の浪人生だった健太郎は、フリージャーナリストの姉に頼まれ、祖父のことを詳しく調べてみることにしました。
しかし調べていくと、宮部を知っている人たちは口を揃えて、「海軍航空隊一の臆病者だった」というのです。
どうやら宮部は、国を守るために命を投げ出すのが当たり前だった時代に、「生きて帰ることが一番大事だ」と考えており、確かな腕を持っていながら戦闘時は遥か上空でその様子を眺めているだけだったそうです。
自分の祖父が腰抜けだったことにショックを隠せない健太郎でしたが、再度調べてみると、今度は「宮部に命の大切さを教えてもらった」という人たちが出てき始めます。
命をとても大切にしていた宮部。
ではなぜ、彼は特攻を選んだのか。
健太郎はその真相にたどり着くために、当時の宮部のことをよく知る人たちに会いに行き、徐々に宮部の想いに触れていきます。
宮部が特攻を選んだ理由とはなんなのでしょうか。
続きはぜひ映画でご覧ください!
【見どころ】
ここからは、映画のネタバレを含みます。
苦手な方は、映画を観てからご覧ください。
1)『命』の重さ
宮部がどうしても生きて帰りたかった理由、それは残してきた妻と生まれてきたばかりの我が子のことを案じていたからでした。
愛する家族が自分の帰りを待っている。
そのことを痛いくらい分かっていたからこそ、宮部は生きて帰ることを第一優先にしていたのです。
しかし戦況が変わり、当時まだ18歳くらいの若者が次々と特攻に向かうようになったことをきっかけに、少しずつ宮部の気持ちにも変化が現れます。
多くの人の命が散っていくのを見送るのは、どんな気持ちなのでしょうか。
行けば必ず死ぬと分かっていながら、それでも見送らなければならない。
守りたいとどんなに強く想っても、目の前で死んでいくのを止められない。
そんな状況が続くうちに、宮部の心の中で罪悪感という闇が少しずつ溜まっていってしまったのです。
もちろん家族のことは大切に想っていたと思います。
叶うなら戦争が終わったら一緒に暮らしたいと願っていたはずです。
しかし、命の重さを誰よりも理解していた宮部だからこそ、その命が散っていくのを黙って見過ごした自分のことが許せなかったんじゃないかな、と映画を観ていくうちに感じました。
特攻は悲しみしか生まない。
そんなことを強く感じる作品でした。
2)つないでいく命のリレー
本作は現代を生きる青年、健太郎が亡き祖父、宮部の生涯を辿っていくという形式で進んでいきます。
少しずつ紐解かれていく宮部の人生には、必ずそれを語る戦友たちの姿がありました。
部下として宮部と共に戦場に向かった者。
宮部をライバルとして見ていた者。
宮部に命を救われた者。
それぞれが宮部の遺した想いを繋いで、今を生きる健太郎に伝えていきます。
そのシーンの数々は、本当に感動的でした。
宮部は死んでしまいましたが、宮部が大切にしていた想いは確かに生きている。
そのことを映画の要所要所で感じられました。
人の心に残った想いは時が経っても色褪せることはないのだということを、この映画を観て改めて感じることができました。
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