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生きることは、

はじめに、お食事中の方は回れ右をお願いします。回れ右しましたか?いいですか?

それでははじめます。

お食事中の方は娘が生けた綺麗な花でも眺めて回れ右してください



うちの猫、すもも16歳女子、最近うんこが出ません。お察しの通りそういう話でして、身も蓋もない言い方をしたのはこれから身も蓋もないことを書こうとしているからでして、ふざけているわけではなく。
クソ真面目です、うんこだけに。

苦情は受け付けておりません。それでははじめます。

人間で言うところの80歳越え、ピチピチの時期は通り過ぎ最近はちょっと脱水気味なくらいだったすもも。
腎不全が少しずつ進むにつれ食べる量も飲む水の量も減ってきて、おしっこの量が減り、毎日出ていたうんこが2日に一回になり、3日に一回になり、カチカチになった。
カチカチでも出ているうちはよかったのだけど、ついに出すこともできなくなってうんともすんともどうにもならなくなった先日のこと。

トイレで暫く頑張ってもどうにもならなくてそのうちにトイレから出てきて妙に太くて高いもの悲しげな声で
「おおん…」
私に向かって何かを訴えかけてくるすもも。多分「ウンコデナイ」とかそういう感じの話だったと思う。
何度もいきんでは出ず、絶対にトイレ以外で粗相をしないすももがトイレの外でいきみ、それでも出なくて、少し移動してはまたいきみ、出なくて少しだけおしっこが漏れたり便汁だけがほんの少し出たり。
ハラハラしながら静かに見守り、ちょっとずつ移動するすももをおいかけ続け汚れた床を掃除し消毒して回った。

待てば出るかとすももについて回るも、あまりにもどうにもならず、そのうち嘔吐までし始め目に見えてぐったりし出したためこれはいかん、と動物病院へかけ込み先生に状況を説明すると、すもものお尻のあたりをギュウギュウ触り
「ああ、あるねぇ」
器用にするするとすもものお腹に溜まっていたモノを全て綺麗に出してくれた。
病院嫌いのすももも診察台の横に立つ私のお腹に顔を突っ伏し私に上半身を保定されながら「ノォォ…」と小さく文句を言ったきり特に抵抗もしなかった。抵抗する元気がなかったのもある、多分。

その後点滴もしてもらいカラカラの体に水分を補給してもらいながら、先生に訊ねてみた。
「先生、うちの娘、医療的なお世話が色々必要な子なんですけど。それで、摘便とかね、毎日のようにしてるんですけど、猫のはもっとむずかしいですかね?家でしてやれたらなぁ。」

そしたら先生が少し考えて
「体重何キロ?」
と言ったので、ええと、さっきはかりましたね、1.7キロでしたっけと答えたら
「いや、娘さんの。」
「娘ですか?23キロほどですかね、障害があるので高校生にしては随分小さいんですけど…」
「あ〜、だいぶ大きい。赤ちゃんとかで慣れてるなら近いかと思ったけど。猫はね、指とかを入れて摘便すると失神しちゃったりするからね、外からこう、こんな感じで…まぁ、だめだったらまた連れてきてあげてください。」
なるほど、1.7キロの猫に比べたら、小さい娘もそりゃ随分大きいわな、私の腹に顔を埋めて小さな声で文句を垂れている猫を支え撫でながらフフフと笑ってしまった。

話している間に点滴も無事終わり、すももは私にしがみつく形で診察台を離れ「オオン…」と小さく鳴いてキャリーの中へしまわれ、病院を後にした。

帰宅した後、このひどい便秘をなんとかしてやらねばと色々調べてみるとどうやら猫の好む綺麗な水を常時用意できる循環型の水飲み器と、その水を温めるヒーターの併用が猫の飲水量アップに効果的っぽいぞ、ということに行き着いて両方早速ポチり、数日後には我が家にすもものあったかドリンクバーが設置されることになった。

ぬるい水が絶えず流れ、部屋の中にいながら小川のせせらぎが聞こえる


すると、すももの引水量が目に見えて増えてきて、おしっこの量が増え、うんこの頻度が3日に一回から2日に一回になり、そして毎日出るようになった。効果はバツグンだ。

飲む、飲む、飲む



水分摂取が安定し、排泄が整うと、食欲も出てきたようで、毎日モリモリごはんを食べ温かいベッドですやすや眠り気がすむまで甘える毎日。

生きることは食べること、出すこと、眠ること、それから幸せな時間を過ごすこと。
16歳のおばあちゃん、まだまだこれから。

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