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哲学者に学ぶ、正しい読書法

読書を始めようと思う方や既に読書が習慣になっているという方も

「具体的にどのような読書をすれば良いのか」

と疑問を持つことはよくあるだろう。

このように考えるのは何も今の我々に限ったことではなく、歴史上においても人類は「最適な読書」というものへの答えを探してきた。

そんな疑問に確固たる答えを示し、一つの道しるべとなってくれるのが、ショーペンハウエル著の「読書について」

わずか150ページほどでありながら、その内容は非常に本質的で、読書に対するイメージを大きく変える力を持つような一冊。

ここではそんな「読書について」の内容を通じて、正しい読書法について考えていきたいと思う。

読書について悩みを抱えているという方にはきっと役立つ内容だろう。


自分の頭で考えよ

この本では一貫して「自分の頭で考えることの大切さ」が強調されている。

本で得た膨大な知識など、自分で考えて得た確固たる知見に比べれば些細な価値しかない。

あくまで読書は自らの思考を補助するものであり、自分が考える際のヒントとして使うべきだとショーペンハウエルは説く。

そもそも読書は他人の思考を自分の頭に流し込む行為であるため、無目的でこれを続けても、考える力を奪う害にしかならないとも断言する。

「とにかく本を読んだ方がいい」

とされがちな世間の考えに反し、あくまで読書よりも思考に重きをおくべきだという主張には新鮮味があるかもしれない。

多読は悪

ショーペンハウエルは、世の中には読む価値のない「悪書」ばかりであるとなかなか過激なことも述べている。

金儲けのためだけに作られた取るに足らない書籍が巷には溢れており、それを読んでも読者は時間と金と注意力を奪い取られるだけである。

人生は短いのだから、そんな悪書に貴重な時間を割くべきではないと痛烈に主張する。

では一体私たちはどのような本を読んでいけばいいのか。

この問いにも明確な一つの答えを用意してくれている。

古典を読め

「歴史に名を残すような天才たちが残した古典を読め。特にギリシア、ローマの時代のものが良い」と彼は言う。

時代を超えて読み継がれる古典の名作には、やはり人類の叡智が詰まっており、それに触れることで確実に人生を豊かにすることができると。

これは人生哲学の代表作「人生の短さについて」でも述べられていることであり、二つの名著で同じことが言われている点から真理のようなものを感じ取ることができる。

今の時代ならギリシア、ローマのものに限らず、中世から近代の名著も含めて見てみてもいいかもしれない。

そして読むならなるべく原書に近い形で読むのが望ましいとも言う。

なぜなら本は人の手を介すれば介するほど、元の魅力が薄まり、他者の思想が本来の価値を歪めてしまうから。

結論としては、大昔からある古典をなるべく原書に近い形で読むのがベストであるということになる。

良書は二度読め

そしてショーペンハウアーは実際の本の読み方についても持論を展開する。

「古典に限らず、良書は読み返すべきである」と彼は主張する。

それは二回目に読む際には、結論や大まかな枠組みが頭に入っているため、その本の吸収率を格段に上げることができる上、一度目とは違った自分でその本に向き合うこともでき、前とは違った刺激やさらに深い洞察を得ることを可能にするからだ。

良書は何度読んでも、その時その時で異なる気づきを与えてくれる力があり、今の自分を映し出す鏡であるとも言うことができる。

この他にも、本を読む目的をハッキリとさせる、メモを取って頭に深く刻む、など読書をより学びのあるものとしてくれる方法についても述べられている。

こうした方法論的な内容もとても参考になるので、こちらも忘れずにチェックしてみておきたいところだ。

まとめ

私たちが考えがちな「読書」とはかなり違った、彼独自の読書論がとても面白い。

特に「多読は悪」とするところは、痛快に感じられた方も多かったかもしれない。

そんな「読書について」自体も、時に応じて何度も読み返したくなるような本なので、ぜひ実際に読んでいただければと思う。

やはり読書は古今東西において最適な勉強法の一つであるのは間違いない。

そんな読書をより有意義な時間にするためにもこうした考えはインプットしておいて損はないだろう。

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