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ESG投資を知ろう(vol.3)~各企業の具体策~

こんばんは、FPむーです。

前回の記事の続きです。


日本はどんな動きをしてるの?
企業におけるESGの位置づけってどう変化しているの?

ということが分かったところで、今回はこれ。

ESG投資、他にはどのような流れがあるの?

具体例をいくつか見ていきましょう。


◆役員報酬 ESGと連動

最近ほう、と思ったのは、この記事。役員報酬を、ESG投資と連動させている、というものです。

役員報酬をESG(環境・社会・企業統治)に連動させる企業が増えている。二酸化炭素(CO2)排出削減や従業員の多様性などの達成度合いで支給額が変わる仕組み。
 (日経新聞2020.12.6(日)2面)


ちなみに、どのぐらい導入されているかと言うと…

ヨーロッパでは、主要企業の73%(英FTSE100種総合株価指数のうち72社)、
アメリカで主要企業の半数(SP500のうち255社)、
日本では主要企業の1割弱(日経500種平均株価の構成企業のうち33社、東証一部で2%の38社)

だそうです。


◆スターバックスの例

有名な例で言うと、スターバックス。従業員の多様性目標の進捗を評価しています。具体的にはどういうものかと言うと…こんな感じ。

2021年度から、製造、小売り部門の従業員の40%以上を有色人種にするといった目標の進捗を役員報酬に反映。

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なぜ、企業がこのような動きをしているのか。
なぜ、最近このような動きが加速しているのか。

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それは投資家からの要請が大きいからなんですよね。

例えば、今年のアップルの株主総会。
機関投資家が経営陣の報酬を評価するため、持続可能性のレポートを公開するように求めました。

また、アメリカのある調査では、気候変動リスクに対応しない企業の「役員の再任に反対を検討する」とした機関投資家は、なんと75%も。


では、日本で具体的に動いている企業は、どのような動きをしているのでしょうか。


◆日清食品のカップヌードルの例


例えば、日清食品。

「カップヌードル」の容器に、2月からヤシの木のマークが入りました。これは、RSPOが認証したパーム油を使った印です。
(質的には劣る「MIXED」という注記があり)

※RSPO…持続可能なパーム油のための円卓会議、マレーシアに本部を置くNPO

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パーム油って、生産現場での森林破壊や児童労働が批判されているんです。上記の認証油を得たということは、森林破壊や児童労働がないことをRSPOに認められた農場や工場と取引し、管理しているという証なのです。調達コストは、十数%以上高くなるそう。


ちなみに、RSPO加盟数は、2015年時点日本で37。300前後のイギリスやドイツに比べて劣っていました。しかし、今は221に急増しています。なぜかって?

東京オリンピックの物品調達基準で持続可能なパーム油を使うように定められたからです。そう、時代の流れはこうなっているのですね。


◆キットカット事件

パーム油と言えば有名な事件がこれ。

ネスレの「キットカット」、誰しもが知っていますよね。

この「キットカット」に使われるパーム油が森林破壊を助長し、オランウータンの生息を脅かしていると訴え、環境保護団体のグリンピースが2010年に動画を公開。不買運動に発展しました。


◆ベトナム火力発電計画、三菱商事の例

最近では、この動きも記憶に新しいです。

ベトナムで計画されている「ブンアン2」という石炭火力発電計画。日本政府が支援していることもあり、三菱商事などがプロジェクトに参加しているのですが…

「石炭火力発電『ブンアン2『の建設計画に関わるのは、気候変動に伴う企業の財務、評判への影響にとってリスクだ。計画撤退を要請する」。北欧のノルディア・アセット・マネジメントやフランスのアムンディなど580兆円の資産を運用する21の投資家は、(プロジェクトに関わっている)12社に書簡を送った。うち8社が日本の企業・政府系金融で、三菱商事や中国電力、3メガバンクなどだ。
 (日経新聞2020.11.29(日)朝刊1面)

ちなみに、イギリスのスタンダードチャータード銀行などがすでに撤退しています。

三菱商事は「ブンアン2はベトナム政府の要請が強く同国の発展に資するプロジェクトだと考えている。引き続き取り組んでいきたい」としている。ただ、企業にとって、投資家の投資対象から外れて株価が低迷するリスクがある。
 (同上)

投資家が、気候変動問題から個別の案件で撤退を迫るのは珍しいことですが、これからは増えてくるんじゃないかな、と思っています。


◆FPむーのコメント

ESG投資が広がる中、「持続可能な社会かどうか」が、今まで以上に評価される時代へと変化しています。企業も経営者も、中長期目線で評価される時代になってきました。

政府の後押し、投資家からの評価。ESG投資は、名だけではなく実を伴うものへと変化している、その真っ最中にある、と私は思います。この流れに対し、しっかりとスピード感を持って変化に対応できるか。企業の動きが注目される数年となりそうです。

(2047字)

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