完全なるゲームチェンジが行われた業界、それが銀行業界〜金利のある世界①〜
私は、金利が下がり続ける世界での銀行で働いてきた。
入社してから今まで15年ぐらいずっと。
入社当初は、まだちょっと金利があった。
近くの銀行が新規オープンするから6ヶ月1%定期預金の金利をつけるよ!というキャンペーンをやってて、
当時新入社員だった私は、そんなにない預金をかき集めて、そこへつぎ込んだ。投資信託も始めていたのですが、なにせ数万円単位でちょっとずつ買っていたのでね。
そして、1年2年と働いているうちに、みるみるうちに金利は下がった。
気付いたら、金利は0.001%になっていた。
0.001%って!
もうほぼ0やん!
どんだけ小数点の0をきざむねん!
って感じ。
ちなみに、0.001%ってどんな水準かと言うと。
100万円を預けても、1年でもらえる利息は10円である。
さらにここから税金がひかれるので、正確に言うと8円。
100万円預けて、たったの8円て!
ちなみに、投資業界では有名な「72の法則」というものがある。
元本を2倍にするために、何年かかるか計算するものである。
0.001%の世界だと、100万円の元本を2倍にするためには、
なんと、
72,000年かかるのである。
ちょっと人間の生きられる年数じゃないですよね。
いや、人間以外でも無理か?
ちなみに。
昔は、郵便貯金(現在のゆうちょ銀行)の定額貯金に預けておくだけで、10年で2倍になった。
当時は、金利が8%ぐらいついていたのだ。
だから、10年たったら2倍になった。
定額貯金に預けっぱなしにしておくだけで、
なーんにもしなくても、100万円が200万円になった。
そんな時代があったなんて、夢みたいだなと思ってた。
だってずっと、金利のない世界に生きてきたから。
金利が下がり続けて、0の小数点がいくつつくねんの世界に生きてきたから。
★★★
今から約4年前、私はこんなnoteを書いていた。
当時、低金利真っ最中。
上記noteの一部抜粋がこちら。
そう、金利のない世界では。
銀行業界の収益は、なかなかキツかった。
従来の銀行の収益の根幹は、
1.貸出金利と預金金利の差による収益
である。
分かりやすく言うと、
今までは、
6%でお金を貸していて(企業への貸出とか住宅ローンとかまるめて)、
そのお金の調達は1%でやっていた(預金金利)。
なので、6-1=5%
これが、銀行の収益だった。
(本当はもう少し複雑な計算がありますが、分かりやすく言うとこういう感じ)
これが、金利のない世界だとどうなっていたが。
1%でお金を貸していて(企業への貸出とか住宅ローンとかまるめて)、
そのお金の調達は0%(預金金利)。
つまり、1-0=1%
これが銀行の収益。
金利のある世界だと、収益が5%だったのに、
金利のない世界だと、なんと収益1%に!
いや、収益5分の1になったら、めちゃめちゃ大変でしょ!って思うじゃないですか。
そう、銀行めちゃめちゃ大変だったんですよ!!
★★★
だから変化してきた。
金利のない世界になって、
銀行の本業を言われていた、
貸出金利と預金金利の差だけでは食っていけない世界になったから。
様々な付加価値サービスを提供したり、
決済の世界に足を踏み入れたり、
各銀行は生き残るために、必死に変化してきた。
そんな時代を経て。
そんな数十年を経て。
とうとう今。
金利のある世界へと、
時代が向かっている。
2024年3月18日19日の金融政策決定会合で、
日銀がマイナス金利の解除を決めた。
翌営業日の21日。
民間銀行は、一斉に普通預金の金利の引き上げを発表した。
三菱UFJ銀行
三井住友銀行
みずほFG(傘下2行)
りそなHD(傘下4行)
三井住友信託銀行
SBI新生銀行
PayPay銀行
金利のある世界では。
銀行の「資金収益」と言われている部分が。
(色々はしょって簡単に言うと)資金があることにより生まれる収益が。
その収益が上がっていく世界に突入した。
金利のない世界から、
マイナス金利の世界から、
とうとう
金利のある世界への突入。
いや、金利のある世界の復活、というべきか。
完全なるゲームチェンジ。
とは言え、
そもそも銀行にお金を預ける、という人が今後増えるかと言われると、そう簡単な話ではない。
銀行業界以外の様々な業界が、この世界に参入してきている。
あえて「銀行の」預金に預ける人も、金額も、減ってきている。
そもそも、日本の人口は減ってきている。
だから、金利のある世界をもって、
必ずしも「銀行業界ウハウハじゃん!今後はぬるゲー!」というわけでは絶対にない。
変化に対応していかなければ、生きてはゆけない。
それでもやっぱり。
金利のある世界は、銀行業界にとって
大幅なゲームチェンジだよなぁ。
次は、「ゲームチェンジって言っても銀行業界にとってでしょ。銀行以外の普通の人たちにとっては、金利のある世界ってどうなのよ。」って話をしていきたいと思います。
(2,100字ぐらい)
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